■2003年2月の日記

2月28日 Fri 戦争と反戦とイベントと

 というわけで本日は紀伊国屋ホールにて「イラク攻撃と有事法制に反対する演劇人の会」に参加した。参加というか、受付のお手伝い。800部刷ったパンフがほとんどなくなり、ロビーにまで人が溢れていた。こういうのはやはり参加した数というのが大切な力となる類のものだと思うので、たった2週間でこれだけの人々が集まったというのはすごいことだと思う。そして家畜仲間、小里くんはカンパ班のリーダーとして人々を仕切った上、なんと紀ノ国屋の壇上で朗読までしていた。渡辺えり子さんとか三田和代さんとか吉田日出子さんとか錚々たるメンバーに混じって「朗読」。すごいな。小里くん。カッコよかったよ。会自体も斉藤憐さんの構成台本に沿って、さまざまな人々の言葉を「朗読」や歌でつなぐというシンプルなもの。見世物としても魅力的なものだったと思う。
 とは言え、ボランティアまでさせてもらいながら詩森はやはりいろいろ考え込んでしまうのだ。この「戦争は間違っている」とか「ブッシュ許すまじ」とか、そういう言葉がどうにも喉につかえるかんじってなんだろう。もちろん私自身、戦争には反対なんだけれど、ある種の信念であるとか、正義というものを押し出すこと自体に、どうしたことか本能的な恐怖感を感じてしまうのだ。「これは正しい」と信じる気持ちは人を信じがたい行動に走らせることがある。そのことが身体にインプットされてしまい、「自身の信じる正しさ」に真っ直ぐに向かえないわたしがいる。つまりそれが地下鉄サリンや09.11に付随するわたしの後遺症であり財産でもある。人は「正しい」と信じることの前にあっさりと思考を停止する。だからまず自らの正しさを疑い、そして何度も検証するべきなのではないか。「全ての戦争はほんとうに間違っていたのか」。「イラクの子供たちの悲惨な状況は果たして戦争を悪とするほんとうの根拠となりうるのか」。「革命と戦争はどこで線引きされるのか」。わたしのなかには答えのでないたくさんの検証すべき事柄がどんどん積みあがっていくばかりだ。
 ただひとつこうは言えないだろうか。それは戦争の問題を情緒の問題にすりかえてはいけないのではないかということだ。すなわち、戦場の子供たちに心痛めることと、戦争に異議を唱えることは実はイコールではないのではないかということである。「こんな悲惨な状況に子供たちをおいてはいけないから戦争をしてはいけない」という論旨は、万一わたしたちの国のこどもたちに危害を加える国があったときに「子供たちをこのようなひどいめにあわせた国に武力的な制裁を加えるべきだ」という論旨にあっけなくすりかわる類のもののような気がするからだ。もしも全ての戦争を放棄せよというのなら、そこには自身の国に対するどのような危害にも武力での抵抗をしない前提を必要とするであろう。なにか凶悪な犯罪がおこるたび「そんな奴らは死刑だ」といとも簡単に口にするわたしたちにそのようなことは果たして可能なのか?
 繰り返すが、わたしは戦争には反対だ。しかしだからこそ思考するのだ。無駄なことも無駄でないことも、時間の許す限り考え続けるのだ。戦争はもしかしたら良いものかもしれないという可能性さえ、わたしは考えたい。このイベントはそのひとつのキッカケにすぎない。始点であり、頂点ではない。関わったものとしての責任を感じつつ、紀ノ国屋をあとにしたのであった。  

2月27日  Thu オフだけど

 パパタラフマラの折込に行ったり、ネクストにチラシを届けたりとそれなりに仕事する。夜は野菜ばかりをこれでもかと買い込み、たらの芽やフキノトウを天ぷらにして食べる。春の香りが濃厚でとても美味しい。天ぷらは水とビールを半々くらいでお粉を溶くと、カリッ、パリッ、ふわん、と揚がります。おためしあれ。

2月26日 Wed シアガ

 こと「シアターガイド編集部」に今日は制作として小里くんを連れて行く。担当のIさんと小里くんはなにやら親密に熱心に話をしていた。
 そののち、稽古。じつはまた脚本をひそかにリライトしたので、その部分を読み合わせ。各登場人物に少しづつディティールを足しただけなのだが、なにかめったやたらと濃いことになっていた。いちおう俳優に感想を聞いてみたのだが、「難しいですね(自分の役が)」という通りいっぺんの感想しか返ってこなくてとことん落胆する。いや。この時期の俳優に、自分の役のこと以外のことを考えろというのは所詮無駄なのでいいんだけどさ。
一応これをもって上演台本とするつもり。でも完成記念と称して呑みに行ったりはしなかった。なにせ今週末からは「稽古には出てないのに酒席はなんども共にした」という謎の客演、泉くんが稽古に合流するのだ。経済的にも体力的にも余力を温存しておかなければ。帰り際、「金曜日は森本家決起集会だから」とみんなで確認しあい散会する。さあいよいよ本格的にスタートですわよ。

2月25日 Tue 分署物語

 「紅き深爪」出演者である泉くんの出ている「分署物語」へ。「劇」小劇場の自由席は悲しい席の場合が多いので、詩森にしては珍しく早めに泉くんに指定席をお願いし、万端の体制で「劇」小へ。ところが、受付で「詩森です」と言うと、いきなり詩森さんはキャンセルです。」と言われる。「いや。そんなことは言ってません」と言うと、「いえ。今日のお席は鈴木典子さん(風琴助演出)と差し替えるようにと泉に言われております。」と殴り書きのメモを見せられた。ぜんぜん意味がわからない。あげくに「自由席なら用意してあげてもいい」というようなことを言われる。いや。たぶん制作の人に悪気はないんだ。実際いい人そうだったし。しかし、とどのつまり間違う相手が悪かったのだ。おもむろに不機嫌になり、「じゃそれでいいです」とブータレつつお金を払おうとすると「いえ、ご招待でと言われております」と言われ、「金を払っている客をなんだとおもっているんだあ」という伝家の宝刀を鞘に収めざる得なくなり、とぼとぼと会場へ。そしたら今度は「自由席は上です」と前は調光室があったギャラリー席のようなところに案内される。不機嫌を通り越し、誰がどう見ても「怒っている人」になる詩森。名前も立場もバレてるのに、そりゃまずいだろ、と思うが、怒りは収まらない。途中ノリちゃんが「わたし、かわります」と言いにきてくれるが、そーゆー問題ではないのだ。それに誰かがわたしのかわりにこんな悲しい席で見るのはもっと耐えられないのでガマンする。で、お芝居が終わって泉くんに挨拶したら、すでに本番中楽屋にも「詩森ご立腹」の噂が駆け巡っていたらしく、かなり恥ずかしい事態に。でもさこれで「風琴の詩森さんはすごく横柄で威張った人」という風評がたったらどうしよう。いや、きっと立ってるよね。ごめん。泉くん。でもさ、なんで予約したあげくにあんな天井桟敷みたいな席に押し込められて、さらに人間としての評判まで落とさなくてはならないのか、と悲しみは募る。ああ。短気は損気。昔のひとはよく言ったものだよ。
 終演後は、そんな泉くんと本番終えたばかりのグリング杉山さん、これから(鬼界事務所)稽古入りの皆木くん、そして風琴女優陣、そして偶然来ていたスズナリのF支配人とジャンプ亭。さっきまでの立腹ぶりなどスッカリ忘れ、超ゴキゲンで呑む。そんなオフでさえ結局下北沢な火曜日。

2月24日 Mon ぴあと稽古

 「ぴあ」に行き、担当のMさんとお話。相変わらず自分の芝居の話のあとに、グリングやら遊園地やら五反田団やら、いろいろ最近の演劇話。そうそう。これが楽しくて「ぴあ」に行くのよ。
 それから稽古。今日は姉妹のラスト近い長い長いシーンを抜き稽古。物語的にはまだもう少し先もあるのだけれど、やはり作品の肝としてはここなので、いろいろ話しつつ丁寧に。しかしこのシーンをこの時期にやるのもやはりなかなかタイヘンなので、しかもまだ一回読み合わせしただけの夫への思いをトウトウとした長ゼリに乗せ語る松岡が気の毒すぎるので、出来るだけ早く森本家主人には出稼ぎから帰ってきてほしいものだ。早く金曜日になりますように。そして今日は呑みに行かず立派に帰宅。帰りの電車でチェルフィッチュの岡田くんに遭遇。そんなヒューマンスクランブルな月曜日。

2月23日 Sun 稽古場ハシゴ

 稽古はもうこれ以上丁寧にはやれませんというくらい丁寧に。今回非常にレベルの高い稽古をさせてもらっているので、逆に至らないところがよく見える。芝居としては完成してもまだまだ先があるのは題材の持つ、「現実の重み」というようなことなんだろう。そんなものに潰されているワケにもいかないので、テキストの不備も視野に置きつつ、探り続ける稽古場である。
 そして詩森は見学の愛ちゃんとフラジャイルの稽古場へ。稽古を見てから愛ちゃんにも手伝ってもらい衣裳合わせ。リフォームすべき衣裳をカートに積んで深夜帰宅。ふー。

2月22日 Sat 下北の夜

 昼は愛ちゃんとジンジャントロプスボイセイ。連日の疲れでちょっと前半ウトウトしてしまう。しかしある種の政治性とメッセージが力強く取り入れられた後半は一気におもしろい。前編に渡り、生より死の影が色濃かったように詩森は思ったが、ロミオとジュリエットがテキストということもあり、前半でもっと生の疾走感があったほうが、後半が更に際立ったのでは、という気がした。俳優のカラダが宙吊りになるシーンは、我とは知らず殺されていくわたしたちの象徴のように思え、なんとも言えない気持ちになった。
 夜稽古のあと、下北にいる山田氏と合流。打ち合わせ兼ねて呑む。なぜか公演中の泉くんもいる。そしてジンジャンを見てきた山路さんもいる。ペンギンプルペイルパイルズの稽古を終えた美華ちゃんも来た。で、いい気分で終電に乗ろうとしたら、一足先に帰ったはずの松岡が終電をしっかり逃し佇んでいた。なので拾ってあげ、松岡は詩森家宿泊。そんなクロスオーバーな土曜日。

2月21日 Fri 五反田団 拝見

 五反田団を見た。わたしとort.d.d.の倉迫氏が「五反田団を見ずして演劇人を名乗るなby平田オリザ」と言われたのは昨秋のことであるが、これでようやく詩森も演劇人の仲間入りを果たしたと言えよう。でも、詩森的には今日の出来はビミョー。緻密にぬるいものなので、ちょっとした間延びや作劇の手ぬるさが命取りになるんだろうね。うまくするととてもツボなものだろう、というのはわかるので、また行ってみようと思うケド。そんな五反田団初体験。

2月20日 Thu グリング

 楽しみにしていたグリング。とても面白かった。特に杉山さんが。ちょっとどうかと思うくらい楽しみ、しっかり飲みにも行く。とは言え不満がひとつもないワケではなく、「ストリップ」で見せてくれた独自性が今回はあまり感じられなかったのが残念だった。せっかくの雛人形の頭作りの家という設定が背景に霞み、よくある家族の話になってしまっていた。それでも俳優の力、作品に対する愛情や座組みのチームワークの良さが演劇に与える力というようなものはひしひしと感じられ、そういうのは単純に嬉しかったりするんだけどね。

2月19日 Wed 長田家出動

 と言ってもなんのコッチャというかんじだろうが、「紅き深爪」には長田家と森本家というふたつの家族が出てくるのだ。で、長田家の妻、睦美と森本家の妻、妙子が姉妹なのだね。この姉妹を吉川と松岡が演じるワケだ。ここ何日はオープニングの看護婦と姉妹のシーンを稽古していたが、今日から長田家が全員集合。森本家亭主の泉くんが「劇」小劇場で消防署勤務(「分署物語」という消防署モノの芝居に出演中)に勤しんでいるため、前半が稽古できず、いきなり中盤のクライマックスから。なので今日は稽古というよりほとんど詩森のうさんくさいトークに終始する。そんないきなりね。できないよ。立ち稽古。全員セリフは入っていたけどね。稽古終了後は長田家決起集会と称して呑みに行く。なんとも和やかな宴であったことだよ。

2月18日 Tue 天然ロボット

 略して天ロボへ。死姦マニアの男の話。と書くと身もフタもないか。いつもの天ロボと言えば天ロボだけど、湯沢さんとナイロンの新谷さんのシーンは単純に見ごたえがあった。そこだけMOMOが帝国劇場になったみたいなかんじのスケールだった。ウマヘタなゴスロリ少女のイメージが強い天ロボだが、実は実力のある俳優で、お笑いなしでやったほうが面白くなるんじゃないかと思った。それにつけても新谷さんはカワイイ。ちょっとしたお知り合いなのでご挨拶したかったが、思い出してもらうのに説明するのも恥ずかしいので遠慮する。かわりにやはり出演者である清滝を苛めてガマンする。それにつけても凄かったのはお手伝いに来ていた「日本一のロリータ」(湯沢氏談)の「さっちゃん」である。ロスゴリ少女で埋めつくされた受付もスゴイが、MOMOの階段を上るとそこにはパンフを配る「さっちゃん」がいて、もうなにがなんだかわからないありさまになっていた。恐るべし天然ロボット。
 終演後は、初日マニアおくむら氏と愛ちゃん、そしてなぜかグリング帰りの山田氏と和民。山田氏はチケット管理の打ち合わせに来てくれたので、まあ仕事といえば仕事なのだが、せっかく作った封筒の説明などはほとんど聞いていなかった。まあ、見ればわかるからいいんだけど。

2月17日 Mon 新聞と折り込み

 我が家は新聞をとっていない。主立ったニュースはインターネットで見て済ませているが、ほんとうは新聞をとりたいという気持ちはある。なんでとっていないかというと単純に読みたい新聞がないからで、どの新聞にしようか悩んでいるあいだに時期を逃してしまうのだ。今日は新聞の勧誘の人が会社に来て、いろいろと薦められたのであった。で思ったんだけど、「オマケつけます」とか「一ヶ月タダ」とか連呼するばかりなのはなぜなのかしら。よっぽど「そちらの新聞は他紙に比べてなにが優れていますか?」と聞こうかと思ったけど、それはしなかった。今度勧誘の人が来たら聞いてみよう。
 新聞とは関係ないけど、紙関係としては今日、折り込みが5件。抜けられない用事を抱えた詩森に変わり、愛ちゃん、増田さん、そしてユニークポイントの山路さんと安木くんまでもが折り込みに行ってくれた。ほんとうにほんとうに皆様ありがとう。なのに詩森ときたら劇場を間違えて伝え、山路さんと安木くんを混乱させてしまう。同じ下北だったから良かったものの、タイヘンなことになるとこだったよ。仕事が多すぎるというのはあるがそれにしてもダメすぎる。記憶力を過信せずちゃんと確認。大切ですな。

2月16日 Sun 稽古2日目

 今日は中村さん、愛ちゃん、松岡の抜き稽古。椅子を置いて軽く動きながら。中村紗夢嬢はユニークポイントの新人さん。澄んだ声と内面のテンションの高さが魅力的な女優さんだ。しかしいかんせんキャリアが少ないので、ものすごくムラが出てしまう。特に「聞く」という状態を体得できていないので、うまくいったりいかなかったり。そこを丁寧に返していく。
 そして松岡と愛ちゃんのシーン。これからやることの多さはもちろんはかりしれないほどだが、初めて合わせてコレというのは、もうこれは劇団員同士の為せるワザである。そうそう。こういう稽古がやりたかったんだよ。ずっと。今回、松岡とも愛ちゃんとも話したことは、稽古場から帰りたくなくなるような稽古がしたいね、ということ。稽古場に熱中したい。そしてそれは為しえると確信した。オフなんていらない(あるけど)。疲れも感じない。雪が降っても。例え寝ていなくても。
 とは言え、自分の稽古が終わってから門仲まで足を伸ばし、フラジャイルの稽古場に顔を出す体力は気力の充実ということとはまた関係なく、単純にもともと体が丈夫なだけかもしれない。一日稽古の疲れでグッタリとした様子の俳優に比してもどうにもわたしは元気そうだ。稽古終わりまでつき合い、チケッティングの説明。そしてフラジャイルの稽古場はね。なんかね。ピュアな現場だったよ。制作は見守るのが仕事。その任務をまっとうしたい、しなければと思った。うまく言えないけれど。そんな稽古2日目。

2月15日 Sat 稽古開始

 稽古初日だと言うのに、タイヘンなことが起こった。しかも純粋に詩森の大大大ミス。いつもならそういう失敗があったときほど嬉々として日記で報告する詩森だが、さすがに今回ばかりは書けない。ダメだ。ダメすぎる。わたし。もうすぐ始まる予定の稽古場日記で増田さんがリークするのをお待ちいただきたい。
 稽古が終わってみんなは呑みに行ったけど、詩森は珍しく行かない。山田さんまでもが打ち合わせと称して呑みに来てたけど、それでもいかない。ボランティア先で長く担当させてもらった友ちゃんという女の子が今年でセンターを卒業するというので、最後に一度食事でも、ということになっていたのだ。思えば最初に担当したとき友ちゃんはまだ小学校3年生くらい。その友ちゃんが高校を卒業だなんて、ほんとに月日の立つのは早いものだ。重度というにはあまりに重度な遅れのある友ちゃんは、もちろん言葉はひとつも発語できない。「トイレに行きたい」ということを指し示す手サインがひとつあるだけ。しかもそのサインも覚束ない。不安だったり、怖かったりしたときもそのサインでしか友ちゃんはコミュニケートできない。まだボランティアに不慣れだった詩森はそのことが不安で不安で、その1泊2日を過ごし、友ちゃんにも不安な思いをさせたものだ。そんな友ちゃんとの関わりは詩森がどれほど言葉にばかり頼っていたかということを教えてくれた。センターの先生が繰り返し友ちゃんを担当させてくれたので、わたしは言葉以外のやり方で人と関わっていく方法を友ちゃんから教えてもらったと思う。演出をしていて、そこでなにが起こっているかということが、空気の色でも変わるように見えるようになったのもここでの体験によるものが大きい。ここのところ忙しくてボランティアにも行くことができなかったので、とても久しぶりに会った友ちゃんは背が私より高く、そして相変わらず細くて可憐なのであった。友ちゃんが私を覚えているかさえ、友ちゃんの反応からはわからない。それでもいつものようにわたしに向かって手を差し伸べ、わたしたちはごく自然に寄り添った。繰り返すキャンプでいつもそうしていたように。卒業のプレゼントは散々迷って四葉をかたどった小さなペンダントにした。友ちゃんがアクセサリをするかどうかなんてわからない。たぶんやらないと思う。世間並みの18歳である必要なんてひとつもないけど、それでもそれがあげたかった。友ちゃんがわたしにくれたたくさんの気持ちに似ている小さくでうつくしいものを。そんな稽古初日。

2月14日 Fri 聖バレンタイン

 だけど詩森はたまりにたまった仕事を黙々とやる。会社では主にエクセル作業。家ではウェブ関連。明日からはチケット発売なんだもの。やらなきゃ。おかげで見に行くつもりだった「8時半」には行けなかった。悲しい。遅い夕食はここ2、3年凝りに凝っているチゲ鍋。詩森はそれなりの料理好きだが、家で作って食べるものの種類は実は意外なほどに限られていて、家で自炊できるときは10種類くらいのものを主だって作っている。カレー、ポトフ、ゴーヤチャンプル、麻婆豆腐、豚肉の梅肉蒸し。そのなかでも冬は一週間と空けずにチゲ鍋だ。もちろん牡蠣の土手鍋だって、石狩鍋だって、水炊きだって作れるけど、でもやっぱりチゲ鍋ばかりを作ってしまう。他の鍋を食べるくらいならチゲ鍋が食べたい。ああ、どうでもいいですね。というワケで明日は稽古開始だというのにほぼ貫徹で仕事して、明け方、気絶するように就寝。

2月13日 Thu DMは無事投函される

 午後から愛ちゃんに来てもらってまた作業。3時すぎにはノリ付けも終え投函。のち紀伊国屋で挟み込み。挟み込みしながら居眠りし、愛ちゃんに心配をかけるが無事2000枚終了。はあああ。そういえば愛ちゃんとご飯食べながら先日終わった公演「もう花はいらない」の話をしたんだけど、すごく貪欲にすごく意欲的にいろんなことを考えていたんだなあと、と思う。いい俳優になったよなあ。ホント。というワケでチケット発売直前、ご案内は無事投函されました。みなさまチケットぜひ買ってね。今回キャストが少人数、しかもジックリみて欲しい芝居というのもあり、座席設定、けっこう少なめになっております。チケット確保はお早めに。

2月12日 Wed DM作業やら美打ちやら

 午前中は封筒を印刷しながら、プリントアウトしたものに赤を入れ、勢いで書いてしまった部分を細かく修正。夜にテキスト書きってあまりしないようにしているんだけど(昼間の思考のほうが冷静だと思うので)、夜書いたものを朝読むのは不思議なかんじがするものだ。なぜこんなことを書いてもいいと思ったんだろう、などと顔赤らめつつ、リライトは完了。郵送したりデータ送信したり、まずは俳優へ引き渡す算段。午後からは来てくれた愛ちゃんとひたすらDM作業。結局終わらず、明日またやりましょうということに。そして夜は風琴の美術打ち合わせ。先日女の子のパパになった福田さんとすでにふたりの子供の父である八着くんと。今回福田さんはうちの直前がシャンプーなので、「装置協力」にお名前をしてあったのだが、打ち合わせてみるといつも以上に仕事をしてもらう羽目になる。いつもはけっこう自分の中に美術のプランがきちんとあるんだけど今回はとても漠然として、さらに今日までさしたるアイデアもなかったので、逆にいつもよりずっとちゃんとディスカッションができて楽しかった。やるぞー。

2月11日 Tue さらに作業、さらに執筆

 日中はDM作業の準備。そしてまた夜はリライト。朝方脱稿し、プリントアウト。ここ何日かロクに寝てないけど、テンションが高いので怖いくらい元気。

2月10日 Mon 怒涛の一週間、はじまる

 ユニークポイントの公演中、ペンディングにしていた様々な業務を一気に片付けなければならない一週間のはじまり。日中は一日中、劇団仕事を片付けてから、家に帰り、多少の仮眠をとってから、ようやくテキストのリライトに着手。とは言え、だいたい先週中にリライト箇所はまとめておいたので、あとは打ち込んでいくだけ。作家によっていろんなタイプがいると思うが、わたしは書きたくて書きたくてジリジリして、さらにはイライラするまで他の仕事をしているタイプ。なのでワープロを開いたら、ちょっと自分でもどうかと思うくらい集中してしまう。ひとの声なんて聞こえやしない。そんなこんなで夜を徹してリライト。

2月9日 Sun 千秋楽

 昨日まで手伝ってくれた小里くんは今日から稽古。初演出の現場へ赴く心境はいかばかりか。そして芝居は千秋楽。もっとお客さんが来るべき芝居だったとそのことだけが残念。しかし劇団化して最初の公演。劇団化は間違いではなかったと確かな手ごたえのある公演だったのではないだろうか。受付にいても公演としてのあり方自体がとても素敵だった。そしてわたしは松岡とやはり来週からはじまる稽古の話ばかりしている。自分の現場が恋しくなるのはやっぱりいい公演だったからだ。打ち上げはアゴラの5階で制作を手伝っていたサラダボウル主宰にしてイタリアンシェフの西村くん、そして照明の福田さんの手による美味しい手料理の数々を堪能。いろんな人ともお話をして立ち去りがたく、しかし今日はきっぱりと舞台監督の飯室さんの車に同乗して3時頃帰宅。

2月8日 Sat あと2日

 今日は受付に座っていても暖かい一日。夜は皆木くんが手伝いに来てくれる。受付にいることも、今回の座組もとても好きだけれど、それでも、早く稽古がしたいと、そのことばかりを思う。

2月7日 Fri 観劇の夜

 都合2件、計3000枚の折込を終わらせてからアゴラへ。今日は最後のまとめを小里くんに任せて観劇。またなにかが深まり、スッキリと輪郭がクリアになっていた。山田さんはじめ、カンパニー全体がこの公演にどれほど愛情を持って臨んだかが解る。巧拙を超えたなにか。集団でしかありえない力。その真ん中で堂々たる身体性をみせているのが我がカンパニーの俳優であることを嬉しく思う。あと2日。みなさんぜひ見に来てください。

2月6日 Thu 戯曲研究会

 斎藤憐さんが発起人となった戯曲研究会というのに呼んでいただく。なんというかこれは戯曲の私塾のようなもの。まだ形があまり定まっていないのだが、参加者誰かの戯曲を叩き台に、合評会をするという形式で進む。詩森はユニークポイントの受付を済ませてから遅れて参加。今日は小里くんの新作「ハルピンの朗読者」。憐さんや坂手さんの的確な批評に、気の引き締まる思い。不肖詩森も比較的読みなれた小里くんの戯曲というのもあり、案じていたよりずっとリラックスして臨むことができた。自分の戯曲を批評に晒すというのは、あまりない体験なんだけど、この場であれば、どんなに叩かれても提出し、読んでもらう価値はあると確信する。呼んでいただいたことを幸運に思う。そんな夜。

2月5日 Wed 2日目

 忙しかった。なんだかとても。

2月4日 Tue ユニークポイント初日

 今日はユニークポイント初日。詩森も朝から大わらわ。例によって今日も賄いを作ったのだ。演劇界の給食おばさんとこれからはわたしを呼んでおくれ。そして受付お手伝いの方々の的確な動きに助けられ無事幕も開ける。特に風琴「病の記憶」プロジェクトの受付チーフだった小里くんのものすごい働きぶりには驚いた。まるで受付やるために生まれてきた人みたいだ。チーフ詩森がチーフでありながら開場時間を間違っていた時、すかさず教えてくれてありがとう。そして前売り料金をうっかり間違ったとき損するにも関わらず教えてくれたお客さん、ありがとう。おかげでちゃんとチケットとお金も合いました。みなさまの御厚意に支えられ、明日もあの死ぬほど寒い受付でがんばりますわ。見にいらしてね。公演は日曜日まで。ぜひ!!

2月3日 Mon 最後の一日

 会社行って仕事してまっすぐ家に帰り食事を作りゆっくりと寝る。稽古前にそのように過ごせる、これはきっと最後の一日。

2月2日 Sun またも衣裳

 またもフラジャイル衣裳ツアー。今日は浅草。詩森、市橋朝ちゃん、そして小里くんという「逆ドリカム編成?」で。浅草ということでおもしろいことや美味しい食べ物もたくさんあり、それなりに堪能したが、まるで遊んでたみたいに思われると心外なので、すべて割愛。そして肝心の衣裳に成果がなく、肩うなだれて帰宅。

2月1日 Sat きらり☆ふじみふたたび

 ユニークポイント、略してユニポのワークショップ公演をお手伝いにまたもや「きらり☆ふじみ」まで。いやいや遠いよ。やっぱりなんど来てもさ。詩森の仕事は主に賄いと女性のメーク。顔立ちが良い子ばかりなのでちょっと丁寧にメークするとみんなとても綺麗になり嬉しい。そして公開通し稽古。この舞台は見るたび変わるね。どんどん変わる。しかもいい方向に。帰りの飲み屋で詩森もついつい熱心に山田さんと舞台トーク。詩森は制作スタッフなんだけど、創作の部分にも不自然でなく関わらせてくれる山田さんの懐の深さに感謝。