■2003年5月の日記

5月31日 Sat 山の手事情社

 シアタートラムに「トロイアの女たち」。衣裳がステキ。スタイリッシュ。ラストの山本さんもステキ。三村さんもステキ。倉品さんもステキ。内藤さんのヘレナはキレイ。でもそれ以上になにかグッとくるものがあるかというと、わたしには疑問。言葉が聞こえない。聞こえてこない。それはいったい何故。何故なのだ?

5月30日 Fri わが友ヒットラー

 朝、サッカーをしている夢を見て、シュートしようとして蹴ったら、ドシンと音がして、「何事!?」と思ったら自分がベットから落ちた音であった。やめてくれよ。そーゆー20年前の4コママンガみたいなマネは。夜は「わが友ヒットラー」を法政大学まで。ヒットラーメイクの阿部さんは超チャーミングだった。しかし芝居としてはどうにも物足りなかったなあ。静止が多いのに言葉が聞こえてこないのが辛い。原因はいったい何?

5月29日 Thu 

 劇団のワークショップ。稽古して多少の構成まで。ちょっとづついいかんじになってきたわ。

5月28日 Wed 感情の坩堝

 昼間はワークショップ研究会。AISIASというところの代表の方のお話を伺いつつ、ダンスの人とかがやる小学生向けのワークショップのビデオを見る。すげー。こんなことできないよ。道のりは遠いなあ。
 夜はさまざまな感情の坩堝に誘われるできごとがあったが、詳細は不明の模様。

5月28日 Tue A−n

 ラ・カンパニーアンの公演を見に久しぶりに下北沢へ。内面にあるものを他者に伝えるための回路が独特で、それをどう捉えるかが評価の分け目になりそう。ガチッとコネクトしちゃう人もいるだろうし、まるきり掴めないという人もいるだろう。わたしはと言えば、演出家モードが入ってしまい、それはこうやればもっと、とか、そこはこうしてみたら、とか、まあ、そんなことを忙しく考えながら見ていたのでした。とは言え、最後轟音のなか、水木さんが遠吠えするのを見ただけで下北まで来た価値はある、と思う公演でもあった。すごいよ。やっぱり。水木さんは。どーでもいいが、隣に狂ったお客さんがいて、年配の女性なんだけど、途中で叩かれたり文句を言われたりしたのが鮮烈。肩がちょっと触れちゃったら、間髪いれず3発叩かれたのである。電波ビリビリくるくらい発信してたよ。困りますね。舞台上より劇的な客。そんなところ。

5月26日 Mon ワークショップ

 今日は演出を入れながらテキストの稽古。みんな素直。演出でどんどん演技が変わっていく。公演の稽古ならいいけど、ここまで真っ白な身体に演技の履歴を刻んでいるのだと思うと、ちょっと責任を感じたりする。自意識の処理、カラダの固定など、割とニュートラルな演出を心がけるようにしましょうか。

5月25日 Sun 休日

 昔、太田省吾さんに「水の休日」という作品があった。半分沈んだ家を舞台にした家族の解体と再生の物語。家の近所はどこに行くにも運河の町だ。ひさしぶりの休日は、自転車で水辺を走る。

5月24日 Sat 身毒丸

 麻布のディ・プラッツまで寺田くんと阿部由輝子さん出演の身毒丸を見に行く。よくある寺山修司ゴッコ。きっと作っている人はほんとうに寺山さんのことが好きなんだと思う。いつも思うけれど、愛され、憧れ続けられるということは、損なわれ陵辱され続けられるということでもあるのだな。そう。寺山修司をほんとうに愛していたら、絶対猿マネみたいなことはしない。だってそれが寺山さんがわたしたちに教えてくれたいちばん大切なことだから。

5月23日 Fri なにもない一日

 いろいろ細かくやることはあるのだけれど、大きな用事のないひさしぶりの日。ここ一ヶ月ほどの押さえつけられるような精神状態から脱却し、まさに「開放感」である。
 夕ゴハン食べたあと、ユニークポイントの稽古場へ。「カンガルーと稲妻」。山路さんに脚本を渡し、ついでに山田さんにも脚本を渡す。山路さんには痩せてください、と宣告する。ゴメン。山路さん。痩せる必要ありませんってさんざん言ったのに前言撤回して。
 家に帰ったら出演者のノリちゃんから嬉しいメール。さあ。夏が始まる。かも。

5月22日 Thu 4つの驟雨

 風琴ワークショップ。先日やった創作をテキスト化して持っていく。風琴工房の創作のワークショップは独特で、シーンを作ってもらったら、テキストにするのは詩森の仕事である。今回は4本の超ショートストーリーを作った。みんなの発想が劇作家の手が入ることでどのように変化するのか、というのがモトネタを本人が作っているためわかりやすいのだ。「行間を読む」というのは俳優にとって大切な仕事だが、先に行間を俳優自身に作ってもらってから、それを言葉にしていく作業と言えばいいのか。モチロン作家の手が入ることで良くなったと思ってもらえないと意味がないワケなので、こちらとしても気の抜けない仕事だ。今日はそのうちの一編をとりあげ詩森という劇作家の仕事のプロセスも大公開。戯曲に対し「情報」を盛り込んでいく際のやり口や、打ち明け話を登場人物にさせるための手順やら、あるひとつのセリフをより効果的にしかもいかにも「決めセリフ」というかんじでなく入れ込む方法、など、なんてゆーか、ワタシの秘密教えますってカンジだ。ま、たいした秘密じゃないけど。出来上がった4編はそれぞれ同じ短編から発想されたとは思えない色とりどりなものだが、でも全てが「風琴工房の世界」となっているのが自分でも興味深い。日頃あんまり意識してないけど、やっぱりあるんだな。風琴工房ワールドみたいなものが。

5月21日 Wed わかってはいましたが「白痴」はマニアックです

 寺田くんに昨日脚本を渡しておいたので、書き直しのために意見を聞こうと電話する。するといつもは第1稿なんて口汚くののしる寺田くんが珍しく絶賛状態で、「いや特に意見はない」などとちっとも役にたたなかった。困るよ。肝心なときに。詩森の第一のブレインなんだからちゃんと仕事してもらわないと。あげくの果てに「俺が伊沢(白痴の主人公)をやる」などと言い出す始末。こういうときにあの人がいかに自分を過大評価しているのかが解る。映画では浅野忠信がやったという究極のダーティヒーロー伊沢を「あの役は俺しかないでしょう」などと断言するとは。とは!!しかも「(音楽)は生演奏だから」と勝手に決めるのもいかがなものか。その上、「あんたから電話が来て興奮したから、今日はもうユニークポイントの仕事はできない、どーしてくれるんだ」、と怒られる。いや。そんなこと言われても。仕方ないので電話を切ってから自分で自分の原稿に赤をいれ、あーでもない、こーでもないと画策。それにつけても寺田くんに評判が良いってことは、一般受けは諦めろってコトだよな。ガッカリ。

5月20日 Tue knob

 「白痴」書いた。書き終わった。安吾は巨大だった。俳優の実力など視野に入れずに書くしかなかった。今決まっているメンバーでどうキャスティングするかさえ問題。そんな小賢しい計算しながら書けるほど安吾は甘くなかった。格闘した。死力を尽くした。寝ても覚めても「白痴」だった。書き直しに向け、今日は深く眠ろう。
 愛ちゃん、寺田くん、そしてFくんとリセットエヌの代表作「knob」。ウエンズスタジオのときはいて、今回はいなかった俳優のことを強く思う。わたしにとっては彼抜きでは存在しえない物語だったのだと知る。それは誰のせいでもなく、ただわたしの問題なのだ。

5月19日 Mon ワークショップ

 悦び勇んで執筆。この3日間、思ったように書く時間が取れなかったことが原動力となる。焦れているかんじがたまらない。そんなわたし、もちろんお寿司はウニを最後に食べるタイプ。入れ込み状態だったため、危うく書きあがりそうになったが、終章を残して今日はお仕舞いにする。どうせ明日には書きあがってしまうのだから、落ち着け、あたし。
 で、今日は風琴ワークショップ。受講生は創作。松岡と吉川は「女中たち」。創作、今日は詩森が各チーム回りアドバイス。デキとしては前回よりグッと良くなったけど、「驟雨」がどこかに行ってしまいがち。みんなが示してくれたイメージをテキスト化して、なおかつ「驟雨」にしていくのが次回の課題か。
 そして懸案の「女中たち」だが、吉川と松岡が、もちろん受講生に対する見栄もあるのだろうが、いきなりド迫力の滑り出しでビックリした。すごいよ。ふたりとも。女優さんみたい。いや。モチロン女優さんなんだけどさ。

5月18日 Sun Y田家訪問

 今日もいちにちお手伝いして、ワークショップ研究会も行った。で、研究会をやった近所のY田家にお邪魔して、「白痴」のチラシ打ち合わせ(イニシャルトークの意味まるでなし)。ここまでやって、帰ってきて、PC開けたら、懸案の登場人物がようやくうまいこと帰ってくれた。よかった。よかった。これで明日か明後日には完成するに違いない。ラストはじっくり味わって書こう。ようやく味わえるところまできたよ。よかった。よかった。どんとはれ。

5月17日 Sat 紅王国2日目

 今日もいちにちお手伝い。どーでもいいけど寒いよ。今日はセーターを着たからさすがに上着はいるまいと思ったら甘かった。甘すぎた。受付仲間のユウコちゃんからピンクのショールを借りて乗り切る。夜、またもついつい飲みにいく。飲みにいく場合ではないのは相変わらずだが、今日はその席で演劇評論家のSさんからウクライナの劇団の舞台写真を見せてもらい、もうそれだけで飲み代分モトは取ったというくらい興奮した。そこの劇団はシェークスピアでもなんでも基本的にどーしたことか全裸なのだ。まあ多少布巻いてたりするけど。しかもすごくアーティスティック。この説明ではぜったい素晴らしさがわからないと思うけど、最高だったわ。「ユビュ王」モチベーションが一気に上がる。やるわ。ユビュ王、苦手分野だけど。
 家に帰り、往生際悪く「白痴」。昨日ロクでもないことを言い出した登場人物は、今日は冴えていた。いいぞ。でも懸案の人物は帰ってくれない。いいかげん帰ってくれよ。そろそろラストに向けて最初のクライマックスなんだからさ。もう一回帰そうと試みて失敗したところでタイムアウト。てゆーか、眠くてね。睡眠優先。明日も書きたいからね。

5月16日 Fri 紅王国 初日

 昼間は脚本。そんなに劇的には進まないけど、確実に進む。もう物語は完成していて、あとは書かれるばかり。とは言え、とある登場人物をそろそろ退場させたいんだけど、「作者の都合で退場させるのはよくない」というのを最近学び、考えたあげく居座らせてみた。おかげでシーンはおもしろくなったような気がするけど、この人、どこで帰そう・・・と悩む。悩んでいるうちに時間切れ。中野に紅王国の受付のお手伝いをしにいく。ほぼ満席だが初日を見せていただき、おくむらさんを拉致して初日打上げへ。そうしている間も、「あの人、ドコでどーやって帰ってもらおう」と悩み続ける。帰ってもらわないとどーしても困るんだけど。帰ってからまたPCを立ち上げ、あーでもないこーでもない、と考えていたが、もうひとりの登場人物も、なんかツマラナイことを言い出したので今日は限界と寝てしまう。はー。まさに人の手伝いをしている場合ぢゃないんである。だったら飲みに行くなよ。詩森。まあね。でも夜の居酒屋はココロのビタミンだから。

5月15日 Thu ワークショップ

 「白痴」はようやく3/5。時間を正確に出すため、ページ数というよりバイト数でだいたいを把握しているんだけど、詩森の作品はだいたい130KBから150KBの間。ちなみに詩森が保有している他人の脚本のデータと比較すると、先日送っていただいたSさんの作品が190KB、「蒼ざめた馬」に至っては330KBもあった。・・・倍以上だよ。おっと、こんなこと確かめて現実逃避している場合ではないわ。書かなくちゃ。自分で決めた締め切りは5/20。絶対守る。守りますとも。
 ワークショップ。今日は創作。吉行淳之介の「驟雨」を下敷きに組になって短いシーンを作ってもらう。創作の精度は今日のところはどうでもいいとは言え、ちょっと作品的にはキビシイかもしれないわ・・・。なので次回また同じ課題で今度は「面白い創作にする」、というのを目標にチャレンジすることに。風琴メンバーはジュネの「女中たち」に挑戦。いや、もう膨大よ。セリフが。いったいこれは何キロバイトあるのかしら。外人ってホント、情熱的ね。終了後はワークショップ受講者有志とはじめて飲みに行く。家に帰ってまた「白痴」。ふー。

5月14日 Wed チラシ撮影

 今日は百鬼どんどろさんのチラシ用写真撮影。ロケ現場手配からやったよ。制作だもんね。自分のトコなら諦めちゃうようなコトでもできるものだね。お人形の衣裳も手配したのだけど、ロケーションと衣裳のアイデアが綺麗にハマリ美しかったわ。チラシの出来上がりがとても楽しみ。撮影後、食事をし、それから家に帰って、脚本。明後日から紅王国の受付もあるし、書かなきゃ。でも昨日までの切羽詰まった心持ちは去った。セリフを書くのもそれはタイヘンだけど、わたしにとってストーリーや構造を考えることに比べたらいくらかマシな作業だからね。なんて余裕で書き始めたら、のっけの長セリフの書き換えでアッというまの2時間経過。・・・大丈夫なのか?まあね、あとひとがんばり。書きますわよ。

5月13日 Tue 対談

 「白痴」のチラシに載せる対談のため、稽古場へ。いろいろ話す。脚本もできてないのに、無責任なことだ。今日は(ユニポイの音楽を今回担当する)寺田くんが稽古に来るというが、脚本が書きたいので帰る。このワタシが。どんなときも飲み会等は涼しい顔で参加していたい(別に飲むと決まったワケではないが)このワタクシが、脚本のために帰る。追い詰められているなあ。せっかく家に帰ったものの、出来上がっているところをつくづく読み返し、このまま書き進めてもいいことはないと判断。プロットからやり直し。対談してたら、書くのを阻害していたものの正体がわかったのよ。それは身も蓋もないいい方すれば、「人に褒めてもらいたい」ってコト。まずは自分の期待に応えなくては。他人の評価はそれからよね。そんなあたりまえのコト、見失ってどーする。なので最初に考えていたプロットに戻して、組み立て直し、今ある部分と整合させ、書き直すべき箇所をピックアップして、気に入っていたセリフやシーンをばっさりカットし、場面割しなおし、登場人物も検討し、なおかつ、それを文章化してまとめてみた。あら。これなら書けそうぢゃないの。なんか混沌としてたのがやたらとスッキリしたよ。
 昨日、ワークショップの「短編を読む」、の課題で、吉行淳之介の「驟雨」を指定した。新潮文庫を買ってください、とお願いしたので、みんな今日あたり購入している筈だ。いまどきこんなにいっぺんに「原色の町/驟雨」というあの短編集が売れることって、きっとそうはないだろうな、と思って愉快な気持ちになる。これが発展して小さなお芝居になるのよ。さてどのように。

5月12日 Mon ワークショップ

 まだまだ詩森しゃべりまくりのワークショップ。小難しく理屈っぽい詩森のレクチャーをキョトンとして聞くワークショッパーたち。早くみんなひとり立ちしておくれ。ワークショップ後、風琴工房の制作をやってくれるかもしれない男の子とミーティング。このテのことでは、なんどもヌカ喜びしているので慎重にもなるが、今回はいい出会いとなりそうな予感。そうあってほしい。ぜひに。ぜひに。
 そんなこんなで遅く家にたどりついたら、山田さんから「白痴、書きあがりました。いちおう。」とメール。「いちおう」というところに嬉しさが滲んでいるように感じられるのはただの被害妄想か。ショックのあまり、今日の町ネタ。蕎麦居酒屋「JAPAN」。浅草界隈ならともかく場所は兜町。その店名が狙う客層はいったい。

5月11日 Sun しゃぶしゃぶ

 食べました。家で。詩森は日頃、牛肉を購入しない(買おうかな、と思っても高くて買えない。貧乏性)ので、なにかものすごい達成感があった。最も半分は豚しゃぶだったけど。100グラム598円が150グラム。レジで20%引き。「白痴」はとりあえず最初の山場を越えた。なんと言っても「白痴の女」が出てきた。一時はプロットから抹消されかけた「白痴の女」だが、なんとか生きながらえたワケだ。なんかちょっと観客への義務を果たした気分。さて、ここからどうしたものか。

5月10日 Sat 今日は今日とて

 また打合せ。今日は百鬼どんどろさんのアゴラ公演の制作の打合せだ。もちろん実務的なことを打ち合わせるワケなんだけど、なんか癒し系というか、癒されてしまうというか、打ち合わせなのに思い切り和むのが特徴である。今度の芝居用に創作された人形をトップスカフェの椅子に座らせて、チラシ写真のアイデアなど練り、スケジューリング。かなり妖しいひとたちである。でも楽しかった。とても。そういえば、どんどろさんは「どんどろ」などと言うネーミングにも関わらず、ものすごくチャーミングなヒトなのであった。いいわ。チャーミングな男たち。とは言え、「白痴」のことを考えると癒されたり和んだりしている場合ではないのよね。泣きそうだよ。ほんと。

5月9日 Fri 東へ西へ

 府中の森芸術劇場で斎藤憐さん作「恋ひ歌」の舞台稽古を見せていただく。先日のフラジャイルの公演を見て、憐さんが青年団の能島さんをとても褒めていらしたので、一緒に行く。ここのところたいせつ用事に遅刻しがち(主立っては江東区から出かけることに慣れていないのが原因)なので、すごく慎重に行動し、能島さんとの約束に10分前到着、憐さんとの待ち合わせも10分前に到着。万全だ、と思っていたのに、なんと府中の森は東府中にあるのであった。改札口で駅員さんに「改札はひとつだけですよね」と確認し、満足していた自分が悲しい。能島さんが地図を見に行ってそのことが発覚し、パニック状態。東府中まで戻り、走る能島さんのあとを息も絶え絶えに追いかけて芸術劇場へ。「恋ひ歌」はその浪漫チックなタイトルからは想像もつかないのだけれど、天皇制を、ただただ天皇を断罪するというかたちではなく、庶民の勝手さ、移ろいやすさを通じて描く過激な作品でございました。なにより最後、あのように平手でも張られるように終わるシビアさにはビックリ。演出がちょっと若い人が見るには古めかしいんだけど、小劇場を日頃見ている観客にもぜひ見てほしい作品だったわ。
 それにしても、日頃のお芝居の感覚でいたら、なんといっても労演で回るような作品なので、休憩挟んで3時間。終わった頃にはユビュ王チラシの打合せにまるきり遅刻の時間。また遅刻だよ。しかしとりあえず駆けつける。まあでもステキなチラシ案がまとまっていたよ。ナカシマさんのオサナナジミだというデザイナさんが詩森的には微妙にヒット。ナカシマさんもチャーミングだけど、デザイナさんもそれに輪をかけてチャーミングなヒトだった。そういえば憐さんもチャーミングなんだよな。こんなにチャーミングなヒトが好きなのに、なんでワタシはこうチャーミングぢゃないのかしら。などと反省しつつ今日という日は暮れたのだった。

5月8日 Thu ワークショップ三昧

 まずはこまばアゴラ劇場でワークショップ講師育成のためのワークショップ。山田さんの代理で出席したのだった。最初はオリザさんの名人芸トーク。もう随分聞かせてもらい暗記するほどであるが、やっぱり面白いし、しばらく聞かない間に新ネタが仕込まれていた。進化している。スゴイ。詩森、代理出席というのに、せっかくの機会なので、フリーディスカッションではどんどんひとにインタビュー。て、ゆーかさ、前々から聞きたかったんだけど、開放のためのゲームとか、あれっていったい必要なもの?わたしもごく最初にはゲームするけど、基本的にほとんどしない。鬼ゴッコとかするとわたしの場合、逆にドヨーンとなっちゃうタイプだからさ。開放できないどころか根拠のない嫌悪感でいっぱいになってしまったり。もっとわたしのようなタイプのメンタリティにあった「開放」の方法ってないものかしら。しかし、そもそもそういう人って、俳優とか演劇には向いてないのかしら。
 夜は自分のところのワークショップ。そんなこといいつつ、今日のワークショップで仕入れたネタを早速実践。もうねえ。ワークショップってフツーに演出するよりずっと手練手管がいるわ。足りない。圧倒的に足りないわ。そんな毎日。

5月7日 Wed 問題の本質にたどりつく

 いろいろ考えた挙句よーやくわかった。どうやってもどうやってもなにをやっても原作の白痴のほうが圧倒的におもしろい、という身も蓋もない結論だ。遅い?まあ最初から勝つつもりなんてないけどさ、あんなにあんなに面白い小説だもの、ただ書けばおもしろくなるかも、なんて期待しちゃうのが人情ってものじゃありません?ほんとうに小説向きの題材なうえ、なんといっても文章の比類なき力よ。安吾の前に安吾なく、安吾のあとに安吾なし。安吾があの時代の大衆に受け入れられた理由はなんとなくわかったけど、評伝劇、書くわけぢゃないからね。問題は白痴の女、というのがメタファでもなんでもないってことだな。妄想でもなく、幻想でもない。圧倒的な「実存」。でもって、白痴の女を「実存」させる手段なんて、少なくともわたしの劇作と演出のレベルではないざます。最近、女優さんって狂女の擬態が好きだよなあ、と思っていて、擬態にならず狂うってなにさ、という話を深爪の稽古場でしたんだけど、「白痴」はね、さらに難しい。知的障害であれば、遅れ、自閉症などケースで分けて具体的に演出するけど、そういうことでもたぶんないのよね。でもって、わたしときたら今日はいちにち写真の安吾をみてウットリしたりして。ああ。安吾の最後の女、三千代夫人になれないまでも、狂った安吾に冷たくされたり足蹴にされたりしてみたいわ。こんなとこで芝居書いてるよりずっとそのほうが女の道ってモノではなくて?
 つまらない話が続いているので、今日のインターネットネタ。白痴の出版された年に起こった出来事を調べていたら、その年のベストセラーというのがあって、なんとサルトルの「嘔吐」が6位だったわ。きっと今よりずっと本読む人が少なかったのね。それにしてもね。すごいわ。ビックリ。

5月6日 Tue 今月はとにかく「白痴」

 でもって今日は「白痴」のチラシ打合せであった。今回のデザイナさんは去年の制作ワークショップでご一緒した京さん。せっかくの合同公演なので今まで組んだことのないデザイナさんとやってみよう、というのが山田さんとの一致した意見。わたしたちの演劇も見てもらっているし、わたしたちも京さんの作品を熟知しているということで、細かな話というより、もうザクっとした夢のような話をする。お互いのイメージを打ち破るような、しかも「お金に糸目はつけてないよ」という勝負感のあるチラシをぜひ、などと。大きい話なのでかなり気分がいい。
 京さんと別れたあと、詩森は山田さんとまた「白痴」の話。わたしたちときたら、あんたらは共同執筆でもする気かい、というくらい、会えば「白痴」について相談をしている。出来上がるまで見せない、などというプライドは皆無。「そうそう。わたしもソコでひっかかっててー」とか「いま、プロットはここまで進んでるんだけど」ともう手のうち見せまくり。なにせ高い高い山なので、手を取り合わなきゃ進めない。とは言え、こんだけ話していていても、きっと仕上がりは「エッ?」というくらい違う感じになると思うんだけど。ところでこの「白痴」連続上演。わたしたちのなかでは演劇界の「冷静と情熱のあいだ」ということになっている。きっと誰も気づくまい。だって山田さんが辻仁成で詩森が江国香織ってコトだよ。無理がありすぎる。まあ、でもそういうコトなので、みなさまヨロシク。
 で、そのあと山田さんは稽古、詩森は岡部企画を見に行く。岡部企画はなんというか、ちょっと倒れそうだった。ナナキチくんの脚線美を堪能した以外にはなんの収穫もなし。そんなこんなで家へと帰り、また「白痴」。山田さんは「カンガルーと稲妻」の稽古に入っているが、「白痴のコト以外、なにも考えられないよ。」とのこと。もうホントにそうだよ。帰り道、自転車を漕いでいたら、舞台装置でちょっとしたアイデアを思いつく。いいわ。

5月5日 Mon ツイテルヨウナツイテナイヨウナ

 前々から行ってみたかった現代美術館に行ってみる。なんの展示をしているのかすら知らずに行ったら舟越桂展をやっていた。ひょえー。ココロの中で、ではなく、実際に歓声をあげる詩森。舟越桂は詩森の高校の先輩にして彫刻家の舟越保武さんの息子であり、彫刻家だ。同郷だからということではなく、詩森はこの人の彫刻がそれはそれは好きなのだ(お父さんのも好きよ)。天童ナントカの「永遠の仔」の表紙にも使われているから、見れば「ああ、アノ彫刻ね」と思い当たるとは思うが、実物は写真で見るのとはまた別モノと言っていいほどのオーラがある。前に見たのは銀座の小さなギャラリーで3点ほどの展示だったがそれでもなんだかヘナヘナとなるほど凄かったのに、今回の大規模な展示にはただただ圧倒され、ちょっとどうかというくらい、うっとり炸裂である。しかもその展示会場にいる人が老若男女問わずウットリとなっていたのもかなり怖い。今週は冴えない一週間だったけど、指輪ホテルを見に行ってどーゆーワケかあがた森魚を生で聴いたり、何も知らずに行った先で舟越桂の個展をやっていたりと、そういう方面でだけはものすごくツイている一週間なのであった。
 でもって今日はワークショップ初日。受講者だけで10名。ひたすらレクチャー。凄いしゃべった。通常の稽古より何倍も。あー疲れるよ。タイヘン。

5月4日 Sun だめなひと

 とても大切な用事に遅刻する。遅刻はさらに次の遅刻を生む。だめすぎる。そしてそれだけはぜったいすまいと決意していたことをぜんぶやってしまう。だめすぎる。理性的なひとになりたい。できれば、あと10年後くらいに。で、だめだめななか、明日からはじまるワークショップの資料を作ったり、「白痴」のことを考えたりするのであった。「白痴」は悩んで書き、投げ出し、資料を読んで、また書き、としていたら、1/5書き終わっていた。原稿用紙で120枚。ワープロ原稿で30枚で完成の予定。短いですね。あいかわらず。

5月3日 Sat だらけまくる

 江東区自転車ツアーなどしてみる。現在住んでいるところは夢の島公園までごく近所ということが判明した。そのあとお台場にも自転車で行った。お台場にチャリで行けるのは、江東区民の特権かもしれない。ずっと探していたリビング用の時計を手に入れる。アルミ製のあまりないデザインのもの。なんと目を疑う1200円。モノコムサってなんだかスゴイ。「白痴」はプレッシャーのあまり進まず。資料などひっくり返してため息ばかり。なのに夜には次の私塾のスケジュール調整のメールに答え、「がんばりますよ。わたしは。」みたいなメールを参加している皆様に向けつい出してしまう。自分を奮い立たせると言えば聞こえはいいが、ただのお調子もんだよ。わたしは。
 「立花隆秘書日記」という本を最近読んだのだが、ああやって資料やら揃えてくれる有能な秘書に憧れる今日この頃。でもあの秘書さん、どう見てもわたしとは女としても教養の上でもステージがいくつも違う気がする。でもいいな。ステキ。そんな連休初日。

5月2日 Fri 今日はひさしぶりに

 もりだくさんだった。まず昼に指輪ホテルに行った。「情熱」。そしたら今日だけのシークレットライブというのをやっていて、バンドネオンが出てきたので、「あー、あがた森魚が聞きたくなっちゃうよ。」と思ってたら、バンドネオン奏者のとなりにあがた森魚がいた。超ビックリそしてしあわせ。しかも「水晶になりたい」を歌ってくれたではないか。「水晶になりたい」は詩森がこの世でいちばんくらい好きな歌だ。音楽はマニア趣味の詩森だけど、やっぱり歌モノは日本語、好きよ。この「水晶になりたい」とキヨシローの「スローバラード」は聞くたび泣いてしまうことだよ。
 そんなこんなで「情熱」ですが、これがさ、おもしろかったざんす。ちゅーか、オープニングでオンナノコたちが「あの格好」で出てきてフェンスにとびついた時点で、この芝居は勝ち。だってさ。「Doll」だよ。じょしこーせーが集団で自殺しちゃう如月小春さんの初期の傑作よ。で。あの格好。非凡だ。すごすぎる。あとはまあいろいろ冗長なところとかもあるけど、もちろんわたしとかんがえがちがうとこもあるけど、もうね、どーでもいい。いまは亡き如月さんふくめほんとうにたくさんの才能とのコラボレイト。そう。こーゆーもののためだけに「コラボレイト」っていう言葉はとっておきたいね。安易につかわないようにしよう。そう思ったよ。ホント。
 そして今日はもういっぽん芝居を見たのだ。神楽坂のセッションハウスの2階のギャラリーでP.E.C.Tの中嶋さんがプロデュースしてチェルフィッチュの岡田くんが作・演出という「恋と自分/とんかつ屋」。これもおもしろかった。ちょっと長かったけど。と思ってあとで聞いたら、ほんとは2時間超で「休憩いれようか」っていうアイデアもあったんだって。それならそれでそのほうがよかったかもね。そのくらいやったほうがこの壮大な、でもやけに身近な前衛劇には相応しかったかも。1時間50分はちょっと中途半端とゆー気がするわ。
 今日はそのほか池袋のフランフランで白いどんぶりを買ったら、店員がまちがったらしくいっこ分の値段でふたつ買えたこととか、指輪ホテルでぐうぜんあった「蒼ざめた馬」出演者であるOくんとお茶したりとかほんといろいろあった日だったけどそのへんは省略。それにつけても芝居のハシゴはたいへんですね。でも今日の2本は両方オススメだわ。行くべきよ。みなさま。そんなところ。

5月1日 Thu そうそう

 4月になると彼女は帰ってきて、なぜか夏には死んでしまうのでした。サイモンとガーファンクルの歌のことね。5月になってしまったなあ。なにか心配ごとがあった気がするんだけど、アタマがぼんやりして思い出せない。たぶんとてもたいせつなことなのに。自転車ライフはあいかわらず。今日は佃島のほうを通って帰ってきた。オシャレなカフェや町屋みたいな家や、ふしぎなトコだった。そしてどこもかしこも運河。水に浮かんでいるみたい。
「白痴」書き出した。まずは役名。するするするっといくつかの架空の名前がでてくる。書けるかも。書かなくちゃ。書きますよ。書きたい。そんな5月のはじまり。