■2003年6月の日記

6月30日 Mon 未熟を嘆くか、社会を憂うか

 中学生向けのワークショップに行ってきた。さまざま予想を超えた出来事があり、経験もないのでそのことにうまく対応できず、講師一同、我を喪いつつ怒涛の2時間が終了。もちろん講師であり、リーダーであるわたしの力不足がいちばんの問題だけど、それだけ反省していても、どうにもならないな。たぶん。別なクラスを担当していた山の手事情社の倉品さんと、「反省会でビデオ見るのイヤだよねー」と話す。おそらく詩森の個人史上でも1、2を争うイッパイイッパイなワタシが写っているに違いない。見たくないよ。そんな必死のワタシ。でもそのあまりの惨状に逆に教育の現場で演劇を行っていくことの必要性を強く感じたね。負けないわ。まずは「発声練習」からだな(あの阿鼻叫喚の現場で声を通すのは、並大抵のことではありません)。白痴では俳優といっしょに肉体訓練、やりますわよ。

6月29日 Sun 打ち合わせたり衣裳を買ったり

 午前中のうちに家を出て新宿で大枝嬢と安木くんの衣裳。あーでもないこーでもないと試した末、何着か購入。その後、法政大学でユビュ7の打ち合わせ。三条会の関さんとはじめて多少まとまった話をしたけど、面白かった。帰宅したら恒例の夏の初めの微熱のせいで熱射病のようになっていてグッタリ。仕事たくさんあるのに。肩凝りすぎ。マッサージ機が欲しいざます。熱いお風呂に入ったりして復活を目指す。それにつけても問題は7月の第3週である。もうすでに稽古がはじまっているというのに、ヒトの公演の案内が次々とやってきて、しかもどれも見に行ってあげたい(行かなければならない)舞台ばかりなのだ。しかし、いまのところ詩森に許された観劇日は金曜日のみ。ふーむ。

6月28日 Sat ウェブ作成

 さまざま用事を済ませてからユニポイの稽古場に衣裳の点検に行く。安木くんの服がヘンだったので、「これダメですね」と言ったら、山田さんは悲しそうだった。決まっていない大枝ちゃんの衣裳と共に明日待ち合わせて買いに行くことに。夜中は白痴ウェブの作成。例によって写真の加工から始めるのでタイヘン。そのほかいっぱい仕事があるがさっぱり終わらない。ああ。6月が終わってしまう。なんとかしないと。

6月27日 Fri 零式

 零式に行った。フラジャイルの渡辺陽介くんが出ているのと作家の方が知り合いだから。詩的なイメージは美しかったが、しかし、演劇としてのかたちにはまだなっていない気が。このセリフは「思い」だけでは言えないなー、などと思いつつ、帰宅。今週はほかにも2本くらい知り合いの芝居があるけど、ちょっと今回は行けないかも。

6月26日 Thu 有能ではありませんでした

 昨日届けた企画書等に怖ろしいミスがあった。このミスはさらにミスを呼び、水際でユニポイ制作の大木さんが食い止めてくれたが、かなりタイヘンな目に合わせてしまった。ごめん。大木さん。
 今日は風琴工房ワークショップの最終日。発表をして、白痴リーディングもして、と意外に盛りだくさん。ワークショップ組、白痴組といるので、なんかギャラリーも多くて熱気もあったさ。いらしてくださったみなさまありがとうございました。

6月25日 Wed 奔走する日

 今日はとにかく忙しかった。まずは事務仕事を片付ける。白痴の企画書やら封筒やら作成し、ユニークポイントの稽古場に持っていく。それから西荻窪に行って「どんどろさん」たちと「どんどろ」チラシの校正。それからこんどは駒場東大前に行ってタテヨコ企画を見て後、京さんからチラシの色校正を受け取り、渋谷で瀬戸さんに「白痴」の台本を渡す。最後に門仲で山田さんに白痴チラシの色稿を受け渡す。ふー。わたしは誰。そして何者。有能すぎる。主に作家・演出家とは関係のない部分で。それにしても白痴のチラシはカッコいい。山田さんが「こんな立派なチラシ、もう二度とないかもしれないなあ」とボソッと呟くほど。まずは「カンガルーと稲妻」でチェキラー。(どーでもよいが、チェキラ、という言葉に恥ずかしさを覚えるのはわたしだけ?)

6月24日 Tue 一応、最終稿

 そんな中、「白痴」の書き直しもひそかに進められていたのであった。木曜日、風琴ワークショップの最終日に、「白痴ドラマリーディング」をすることにしたので、それまでに最終稿をあげないとならないのだ。そうよ。そのせいでほとんど眠れない1週間だったのよ。昼寝はしたけどさ。遊びにも行ったけどさ。冷静に考えてみたら「ボウリング・フォー・コロンバイン」なんて見ている場合じゃなかったわ。ましてや「マトリックス」見て「ハズす」なんて言語道断だわ。なので今日はついにリライト以外なんにもやらないとココロに決めて、直しに直す。直したところをさらに直す。相変わらず「白痴」は人を夢中にさせますわね。それにしても脚本書き始めて何十年もたつのに(詩森の初戯曲は小学2年生の時ざます)、いまだに書き始めると夢中になってしまうというのは、それは「永遠の素人」ってコトかしら。まあでも書き上げ、夜中に俳優やらスタッフやらに添付ファイルで送付など。次は「ユダの食卓」の改訂版を書かねば。ユビュ王の演出プランもな。いったい誰が考えたのかしら。このスケジュール。わたしか。ならやらないとね。

6月23日 Mon 来週の今日は学校に行く

 来週の月曜日、目黒区のとある中学でワークショップをするというのは前にも書いた。だからというワケではないのだが、今日はそこに学校見学。平田オリザさんの授業を見せていただく。これからここの生徒たちは脚本を書くらしいのだが、そのための授業らしい。場所の公共性というのを教えるために、「週末はどこへ行きましたか」と質問したら「どこにも(行きません)」との答え。ショーゲキ。コンビニくらいは行ったろう。いくらなんでも。そう言えばウチの姪っ子が「くまのプーさん」のキャラクタグッズを持っていたので、「プーさん、好き?」と聞いたら「別に」って答えが返ってきたっけなあ。昔は「別に」っていう語彙、中学生にはなかった気がするんだけど。「明言を避ける」。文化というのか、伝統というのか。浸透してますな。まあでも今まで実体のないお化けみたいな存在だった生徒さんたちの顔を見て、楽しみにはなったわ。
 夜は風琴のワークショップ。こちらもちょっとショーゲキの事態が。愛ちゃんにそのコトを言ったら、「そーですかー。ワークショップ仕様の詩森さんでテンパッているようでは、本公演の時の詩森さんを見たら泣いちゃうかもしれないですね」と言われる。・・・そうなのか。そう言えばよく俳優が泣いてるよな。しかも泣くと「稽古場で泣くなら帰れ」とか言うしな。気をつけて中学生を泣かさないようにしないと。その後、藤原くんと「ユダ」のスケジュールに関する打合せ。夜中は京さんと白痴のチラシの最後の校正が飛び交い、来たぞ、来たぞってかんじ。早くもやや夏バテ気味だけど、がんばりますわよ。

6月22日 Sun ボウリング・フォー・コロンバイン

 懸案の、というかグスグスと先のばしにしていた話題作「ボウリング・フォー・コロンバイン」を見てきた。マイケル・ムーアが撮ったドキュメンタリフィルム。コロンバインは、銃を持った高校生が生徒たちに乱射したあげく自殺した、あのコロンバイン高校ね。すごく楽しみにしていたし、実際面白い映画なんだけど、どうかな、これ。アメリカの銃社会を真っ向から切る、という着眼点はもちろん素晴らしいんだけど、最終的なところで正義と悪にきっぱり分かれる二元論的なアプローチが日本のワイドショーっぽいし、撮る主体であるマイケル・ムーアが常に正義の側にいるのが、詩森的には引っかかる。例えば、ライフル協会の会長であるチャールトン・ヘストンへのインタビュー、あんな風に自分の意見物申す、ということではなく、ただ聞くことに徹していれば、銃を持つということがどのように彼のなかで整理されたのか、青少年による銃犯罪がおこった地域でわざわざ「銃愛護」の大会なんてものを開くに至るメンタリティは、そんないろいろを白日の元に引きずり出すことができたのでは、と想像すると残念でならない。その人間の抱えている矛盾こそがいちばん怖ろしくまた描くべきものではないのか?マイケル・ムーアが「正義の味方」を演じているうちはホントのことなんて画面には映らない。きっと。たぶん。そう考えると、やっぱり「A」は奇跡的な映画だったんだよね。などと思いつつ映画館をあとにしたのであった。

6月21日 Sat 

 高校時代の友人が遊びに来た。月島で「もんじゃ」を食べた。高校時代に出演した8ミリを見た。たまにはそんなフツーの土曜日もあるのだよ。

6月20日 Fri ガマ発動機

 見に行ってきた。駅前劇場に。ガマ発動機。俳優陣の充実が素晴らしく、装置もとてもステキで、かなり面白く見たのだが、なぜか最終的なところで物足りない。これはおそらく脚本に原因があるのではないか。世紀の傑作ができそうな座組みで、ボウリングという得がたい題材だったのに活かしきれず、心から残念。でも一緒の会場で見てたおくむらさんに「詩森さん、寺十さんのファンすぎます。ウケすぎ。」とダメ出しされる。飲みに行ったら行ったで、出演者の宇鉄ちゃんに、「詩森さん、反応が素人だよ」とまたもダメ出しされる。いや。ちゃんと見てたのよ。でもさ。面白かったんだもん。寺十さんはじめとする俳優陣が。ホントに。というワケで蒲ちゃんがやってるガマ発動機、日曜日まで。ぜひ。

6月19日 Thu クリエイティビィティ

 夜は風琴のワークショップだったので、先日やったダンスのワークショップを簡易版でやってみた。みんな楽しそうにやっていて、やっぱりよくできたプログラムなんだな、と実感できたが、発表のデキでいくと、このあいだとは別物と言っていいものであった。作り手の発想の豊かさ、表現力、そしてコミュニケーション能力がこんなにも歴然とした差として浮かび上がるものなのか。表現の道は厳しく険しいなあ、などと思ったりする夜であった。がんばれ。みんな。

6月18日 Wed 中学生と演劇を見る

 「ヤルタ会談」を見る。来週ワークショップをやる予定の中学生たちと一緒に見るという特殊な環境での観劇。この芝居は風刺劇として相当面白いのだが、平田さん渾身のギャグが中学生たちには一切通じずヒネリが効いたギャグほど「シーン」としているのが詩森的には相当面白かった。「なぜ面白いのか、ヤルタ会談」という講義がしたくなった。もちろんこれは極端なかたちだが、演劇の現場ではこういうこともまま起こっているのではないか。作り手の立場からは言いづらいことだが、観客は理解力のなさにあまりに鈍感である。「解らない」のがそんなに偉いか。観客たちよ。とわたしは思う。中学生の彼らに今日の芝居が難しかったのはとてもわかるが、できれば来週行った時、歴史や思想について解ると、あの芝居は爆笑の連続になるくらい面白いお芝居なんだよ、勉強っていうのはそういう風に人生を豊かにするためにあるんだよ、ということを教えてあげたいな、などと思ったりしたのであった。

6月17日 Tue 踊りました

 今日のワークショップ研究会はイギリスでダンスのエデュケーションを学んでらした講師の方によるダンス・ワークショップ。踊りましたよ。詩森も。ひさしぶりに。いやん。もう。楽しかったわ。踊ったこと自体もプログラムも。創作もあって、3グループに分かれ発表するんだけど、日頃ワークショップをやりなれている若手では一線の演出家(リセットの夏井さんやポカリンの明神さん)たちや、バーズで振り付け担当のヒロエちゃんや、リセットの町田カナちゃんや、山の手事情社の倉品さんまでいるんだから、面白くならないハズがない。ゴージャスよ。そこらへんのコメディやってる劇団がハダシで逃げ出す面白さ。お金とってもいいくらい。お見せしたかったわ。
 夜はユニークポイントの通し稽古へ。やっぱり面白いね。「カンガルー」は。戯曲自体がおもしろい。飲みにいって詩森のとんでもない演出アイデアをご披露したら、採用になった。そのアイデアが実現したら、わたし、客席で大喜びしちゃいそうだな。ぜひ皆様、ご覧になって、そのアイデアが何かを当てておくれ。

6月16日 Mon ワークショップの日

 月曜日は風琴ワークショップの日。真面目に。地道に。みんなカラダがシッカリしてきた。安木くんが稽古場に来た。稽古場で飲んだ。そんなところ。

6月15日 Sun 白痴の企画書

 作っているのだが、「企画書用」にプロフィールくださいって言ったのに、ユニークポイントの新人ふたりが、とんでもないものを送ってきていることが発覚した。いや、そのテのことでは風琴工房も歴代負けていないハズなのだが、このふたりの破壊力には負ける。あまりに面白いのでご紹介するけど、まずは石橋龍ちゃん。風琴工房のカスパー彷徨にも出てくれた男の子である。

『「石橋龍(26)、B型、サッカー、油絵、ベンフォールズファイブ、サタデイインザパーク、木場勝巳(己?)、趣味は片想い、維新派、自転車泥棒、下ネタ、屁理屈、カスパー彷徨、なにもしてないをしてるんだよ。」という感じでお願いします。』

・・・いや、お願いしますって言われてもさ。コレ、「ぴあ」とか「朝日新聞」とかにも送る「プレスリリース」なんだよ。だいいち日本語として体を為していない。そして「紅き深爪」に看護婦役で出てくれた中村紗夢嬢。

『2002年7月ユニークポイントに入団。2003年2月<もう花はいらない>に出演。見かけは小型です。夢見ることが大好きです。今自分の中で流行っている夢は、芝居の中で思いっきり真っ赤な血を吐くことです。』

・・・吐くなよ。血を。繰り返すがコレは、「ぴあ」とか「朝日新聞」とか、もしかしたら文芸批評とかにも送る「プレスリリース」なんである。いやはやスゴイ破壊力だよ。負けたよ。負けた。仕方なく詩森が書き直し、「できることであれば出身地と年齢を教えてください」と丁寧なメールを返信する。山田さん、ここ読んでたら、「プロフィール」の意味と企画書の使用目的をふたりに教育しておいてください。というワケでこんなふたりも出演するユニークポイント公演「カンガルーと稲妻」、チケット絶賛発売中。風琴工房女優陣+主宰者がカンガルーの扮装にてもれなく受付に。面白いから来てね。来てね。

6月14日 Sat マトリックス・リローデット

 行ったわ。マトリックス・リローデットに。いやさー。こーゆーのこれからみる人もいっぱいいるから言っちゃいけないのかもしれないケド、ほんとお粗末な映画よ。アレ。もうワタシ、ビックリしちゃったわ。マトリックスはあんなにあんなに面白かったのに、いったいどーしたことでしょうか。確かにお金はかかっているのだと思うけど、でも面白くないものは面白くないんだから仕方ない。ありきたりなアクションシーンがやたら冗長に続くのとかもウンザリしたけど、たぶん愛とかヒューマニズムとか観念の部分に力を入れすぎたのが失敗の原因ではないかと。特に愛の部分がね。キアヌくんとキャリー・アン・モスのカップルがなんだかやけに湿っぽくて、密室感たっぷり。それにかなりの時間が費やされている上、それ以外にも夫の身を案じ待つ妻、みたいな愛がてんこ盛りで、これは日本の戦争映画なの?と思ってしまうほど。唯一面白かったのは、キアヌくんが妻の命を助けるべく●●を直接●●●●●(ネタばれ自粛)するシーンと唐突と言えばあまりに唐突なエンディングだけ。特に前者はCGのバカバカしさも相まって、おそらく映画館で詩森ただひとりだけ爆笑モードにスイッチオン。もちろん声をあげては笑わなかったけど、ひとり映画館の片隅で肩を震わせ笑いをこらえる詩森。隣でカップルの女の子が感動して涙ぐんでた気もするけど、どう考えてもそこ、笑うトコだと思うよ。そんなこんなでひさしぶりの娯楽に敗退し、ちょっとばかり悲しい詩森なのだった。

6月13日 Fri ユニポイ衣裳

 ユニークポイントの衣裳を決めに稽古場へ。「ではこれから衣裳をやります」と山田さんが言っても、誰も動こうとしないので不審に思っていたら、みんなすでに衣裳候補を着て稽古をしていたのだった。あまりに稽古着テイストすぎて気づかなかった。いいのだろうか。いくらオーストラリアの草原でだらだらしている人たちの話だと言っても、これではいくらなんでも門仲テイストが過ぎるというものではないか。なので小長谷さんには「せめて首周りが伸びていない(そして洗濯のしすぎで元の色から変色していない)Tシャツにしてください」と申し渡し、増田くんには「そのオバちゃんみたいなサンダルはどうかと思う」と率直な感想をぶつけ、紗夢ちゃんには「服も帽子も靴も、全部買わなきゃだね」と最後通牒を叩きつけてみる。返す刀で龍ちゃんにこのあいだフラジャイルの時、ワタケンさんのために詩森が私財を投入して買ったステキな帽子をかぶせてみたらどう見ても「カールのオジサン」になっていた。思えばフラジャイルの時、「そんなステキな帽子はワタケンには似合わないよ」と小里くんが随分とオカンムリだったが、龍ちゃんのこの有様を目の当たりにしたら、どれほどワタケンさんがダンディであったか気づいてくれるに違いない。それにしても恐るべしユニークポイントの衣裳合わせである。ま、オモシロイからいいけどね。

6月13日 Thu ワークショップの日は特に

 もう書くこともない気がする。淡々と、やるべきことを。でもって木曜日は飲みに行く日でもあった。まあ、楽しく。つつがなく。

6月12日 Wed ホームページ

 「白痴」公式サイトにさっそく着手。13人分の俳優の写真を取り入れ、加工していたら、いいかげんウンザリしてきた。人が多すぎる。4演目やった病の記憶でさえ、総勢10人だったからね。やってもやってもってカンジだよ。先が思いやられる。しかも昨日の打ち合わせで、いろんなスケジュールが押せ押せだってよーやく気づいてね。なんとかしなきゃ。なんとか。と思いつつ、大好きな公式サイト作りばかりをやってしまうのだった。

6月11日 Tue 朗読

 友人のI嬢がやっている朗読を聴きに日暮里まで。I嬢の朗読はとてもおもしろいのだが、今回の演目である大槻ケンジの小説がわたしはあまり好きではないということを会場に行ってから気がついたのでした。あの人の歌はまあまあ好きだし、エッセイはおもしろいと思うんだけど、小説はね。苦手。怖さの質とかがわざとらしくないか?でも相変わらずIさんは毒々しくて異形なかんじで、素敵だったんでした。
 で、その後、宣伝写真を受け取りに荻窪まで。メンバーは宣美の京さんと藤原くん。開けたらいきなり安木くんの写真からで、それがあまりにタダのスナップ写真だったので、「だ、だいじょうぶなのか?」と思ったら、女優さんはみんなとても美しくステキだったんでした。同じ場所、同じカメラ、同じカメラマンが撮ったのに。写真って、フシギ。さあ、あとはチラシができるのを待つだけね。白痴、いよいよ始動いたしますわ。

6月9日 Mon 麒麟草の舟リターンズ

 今日は風琴ワークショップ。今日からのテキスト稽古は悩んだ末に「麒麟草の舟」を中心に。若い子が多いし、まあ演技もそんなに上手じゃなかったりするので、逆に本読みを聞いているとリアルでキュンときてしまう。ああ、若いっていいなあ。そんな月曜日。

6月8日 Sun ごくふつうの

 日曜日だった。家の近所の図書館に行ったらあまりに使えないかんじなのでビックリする。しかしそこで借りた「せんとうびしょうじょのせいしんぶんせき」はその凄まじいタイトルにも関わらず面白かったのでございました。オタク論としてかなり秀逸。目からウロコが落ちますわ。「リカちゃん症候群」あたりとは格が違うってかんじ。そうそう、風琴掲示板で話題になったヘンリー・ダーガーにかなり多くのページが割かれてたざます。やっぱりスゴイね。ヘンリー・ダーガー。どーでもいいけど、この本の作者ってワタクシの高校の先輩なんざますね。わたし、ほんとに偶然なんだけど、この人の著作は結構読んでいて、「社会的引きこもり」も面白かったし、そのほか「テロ以降を生きるためのわたしたちのニューテキスト」←(必読)にも書いているし、最近では美術手帳に「舟越桂論」を書いていたわ。結論を決めて書くのではなく、書きながら論理を構築し、納得できる結論が導き出されるその誠実な態度に好感。さすが先輩。というわけでこの本の作者斉藤環さんは詩森が今あってみたい方、のナンバー1くらいなのでした。誰かぜひ紹介してください。ラカンもちゃんと読んでみようっと。そのほか、借りてきた本をどんどん読む。ああ、いいわ。目的のない読書。次は「幇間の遺書」というタイコモチの方からの聞き書きノンフィクションを読むの。純正の江戸言葉に酔いしれる予定ですわ。←我ながら節操なし。

6月7日 Sat 写真とリーディング

 チラシ写真と情報宣伝写真を撮りに月島へ。風琴組、ユニーク組併せて総勢13名。いやはやいやはや、タイヘンだったよ。わたしが、でも俳優が、でもなく、カメラマンが。だって13人分の個人写真や詩森・山田の対談写真まで撮るのだからね。今日のカメラマンは制作藤原くん。彼は写真学科の学生でもあるのだ。ちゃんとディレクションまでしてくれて、なんて使える、いや能力のある制作さんでしょうか。とゆーワケで終わった頃には風琴組、ユニーク組のお姉さま方のハートをしっかりゲットしていた藤原くんなのであった。
 その後はせっかく全員揃ったのだからと顔合せ。で、今回の白痴のそれぞれのチームの1場をリーディング致しました。初見なので、まあ、こんなもんでしょ、というものではあるのだが、風琴組の4人の女優が揃ったのは今日がはじめてだったので、ワタクシ、かなり緊張致しましたわ。まあわたしが緊張してもどーしよーもないのではあるが。
 夜はフツウに帰ろうと思っていたのに、松岡が終電を逃したため、山田さんや山路さんと安木くんと共についつい4時過ぎまで。あー早く稽古したいな。

6月6日 Fri 雪の結び目

 なんとサイモン・マクバーニーのチケットが取れていなかった。いや、すべてわたしのミスなのだが。当日受付で引き取るものだとすっかり思い込んでいた。前日、たまたまチラシを見ていてミスに気づき、確認したら1週間以内に引き取りしないとキャンセルになってしまうらしい。なのでほんとうは週末に行く予定だったシアタートラムのフランス人演出家プサンティの作品を劇団員総出で見に行く。退屈だ、という意見は多かろうし、たしかに日本人には馴染まぬタイプの作品だとは思う。長すぎるというのも大きい。1時間40分、殆ど理解不能の世界を強制されるのだから、見るほうの負担も大きかろう。しかし、わたしは好きだった。どれほどの丁寧な作業の果てに俳優たちがいまここにいるのか、ということが、動作のひとつ、視線のひとつから感じられ、そしてその身体のリアルさはもはや圧倒的と言ってさえいいものだったと思う。このような感想をわたしがこの作品に抱くのは、舞踏が好きで、転形劇場のような表現を好む人間だからというのも大きいだろうと思う。抽象性に耐えうる嗜好と体験の蓄積が見る側に要求される舞台である。それにしても、その暴力性、衝動性のなんと生々しく嘘のないことか。しかもあとで確認すると一切即興ではないというのだから、オドロキだ。セックスや衝動、を描いてもマスターベーション的にならないのは、その徹底した演出家の管理によるものなのだろう。抑制された舞台は多く、垂れ流された舞台も多いが、そのふたつを併せもった舞台というのはそうはない。この圧倒的な抽象性を具象の形で再現していく俳優たちの身体に心からのリスペクトを感じる。この演劇はフランス人の俳優と日本人の俳優がほぼ半々の比率で出ているのだが、特に日本人俳優はおそろらく圧倒的な苦手分野であろうこの演出家の方法論を戦い抜き、今舞台の上にあるのではないか、と想像した。美しいステキな時間だった。こういったものを理解できる日本の観客が少しでも増えていきますように。

6月5日 Wed 中間発表

 風琴ワークショップの中間発表。技術の問題とか時間の問題とかいろいろあるけど、まあ現在の地点を指し示すということで。今回の受講生は総じて素直。みんなとてもいい子だし、性格もよい。しかしまだ俳優以前というかんじ。演技も存在の在り方も。ここから俳優と呼べる存在になっていくのはいったい誰なのか。わたしはそこに彼らを連れて行けるのか。

6月4日 Wed ショッピング三昧

 打合せ、ワークショップ研究会、打合せと、そんな演劇業界人な一日。そのほか今日はものすごくたくさん買い物をした。まずはビレッジバンガードでビヨビヨーンとしたお馬鹿なかんじの目覚まし時計、一目ぼれの1000円。それからパンツ3本、タンクトップ2枚、カーディガン3枚、スカート2枚、さてこれでいくらでしょう。なんとオドロキの3150円。門前仲町のリサイクルショップでの出来事でございました。

6月3日 Tue リライト着手せよ

 グスグスしていた「白痴」のリライトに着手しようとしていたら、fringeの荻野さんからメールをいただいた。わたしときたら恐れ多くも荻野さんにも脚本を読んでもらい、アドバイスを求めていたのだ。実は深爪のときも読んでいただき、あまりに的確かつタメになるアドバイスをいただいたため、調子に乗って今回もお願いしていたのであった。そして前も思ったけど、なんというか、さすが制作者、批評眼の確かさも魅力ながら、その文章の持っていきかたにはいつもほんとうに感心する。そ・・・それは、ほとんど書き直しということ?というような厳しい意見であるにも関わらず、こちらのモチベーションが否が応でもあがるようなトーンに貫かれているのである。スゴイよ。ほんと。その心意気に応えなければ。というワケで、一気に調子に乗った詩森。どうしたらいいのかなー、と思っていた全体の構成に妙案が浮かび、書き始める。しかしこのアイデアがまたとんでもなくてさ。でもやるわ。やりますとも。志くらい高く持たなくてはね。伝統など有難がるべからず、と安吾も言っているではないか。武蔵野の落日は絶えたとしても悲しむにあたわず、バラックに落ちる夕日もまた美であるとね。

6月2日 Mon マイナーチェンジ

 風琴ワークショップ。中間発表に向けて最後の構成を。10人くらいワーッと女の子が飛び出してくるのがなんだか新鮮。ところでこの時期に台風が来るってどうもオカシイとは思いませんか?丈夫なのだが気圧の変化だけには滅法弱いワタクシ。こまるわ。この天気。体調がすぐれなくて。どうでもいいことだけど、ヤフーBBの袋がスヌーピーに替わった。毎日毎日あの街頭宣伝には辟易していたが、だんだん袋がボロくなり、さすがにそろそろ終わりだろう、と思っていたら、新しい袋になった。そして街頭宣伝の街頭は更なるマイナーな地へと進出している。こんなさびれた場所でいったい!?というような場所にも奴らはいる。しかもスヌーピー。なんかね。ホントにね。

6月1日 Sun 6月がやってきた

 今日は朝からワークショップ研究会のあと、山田さんとカメラマンをしてくれる藤原くんと門仲で打ち合わせ。とさりげなく書いたが、この藤原くん、というのが5月の日記にも何回か登場するFくんであり、11月の「ユダの食卓」から風琴工房の制作をやってくれる男の子なのであった。弱冠20歳。「ウチの制作を今度やってくれる男の子がねー、20歳なんですよー」と山田さんに自慢したら、「息子みたいなものですね」とアッサリ言われた。まあ、それはそうかもしれないけどさ。でも「どうしますか?お母さんって呼ばれたら」と真顔で聞くのはやめておくれ。というワケで、詩森がもしも劇場に若くて華奢な男の子を連れて来ていたとしても「息子さんですか」ってユメユメ聞いてはいけませんよ。そしてこんな魑魅魍魎の棲家のような風琴工房についウッカリ迷い込んできてしまったかわいそうな子羊、藤原くんをどーぞよろしくお願いいたします。