■2003年9月の日記

9月29日 Mon 怒涛の日々

 怒涛の公演、終わった。何はともあれ、楽しい公演だった。やりたいことをやりたいようにやるのはいいものだ。誰にも媚びない、客受けも考えない。俳優にも恵まれた。いい座組みだった。ボンテージに身を包んだ女優たちのセンセーションな演技に話題が集中してたけど、ほんとはそんなことよりもっと過激な芝居を作りたかった。なのになかなかうまくいかない。自分が拙くて悲しくなる。それにしてもボンテージなんていまどき、ぜんぜんセンセーショナルじゃないと思うけど。
 公演終わってから4つの芝居を一気に見た。ツマヅキノイシ、山の手事情社、シャンプーハット、青年団。山の手事情社の鍛えられたカラダにも、青年団の熟しきったカンパニーひいては創作の力にも感じ入ったけど、なんと言ってもわたしはシャンプーハット。「青空」みたいな解り易い話じゃないんだけど、この痛み、逃げてないかんじ。全身の毛穴から血が噴出しているみたいだ。時にタイクツなところもあるんだけど、それは青年団の周到に作られた「魔の退屈」より、わたしにとっては「魔の退屈」で、それはじわじわとわたしの神経を犯し、止まない雨にわたし自身の死体が漬け込まれてぶくぶく膨れ上がっていくみたいだった。なんてリアルな演劇。なんてリアルな閉塞。そしてすがりつきたくなるような一抹の希望。うつくしい。お願いだからカンタンに「わからなかったです」なんて、一行レビューとかに書かないでおくれ。まだわたしは観客に絶望したくないんだ。
 謎の中国人から呼び出され、門前仲町のミスタードーナツでお茶をする。批評性をどこにおくかという話をする。モノを作るわたしたちの構えについて話す。ちょっと溜飲を下げ稽古場へ。そう。「ユダの食卓」の稽古は始まっているのだね。
 達平くんと打ち合わせして、深夜帰宅。

9月21日 Sun 劇場入り

 しました。やはりデカイね。この空間。でもそういうのに燃えるタイプの人たちらしく、なんか気合が上がってた。特に客演男子ふたり。タクヘイはとんでもないお城のようなブースを作ってた。全体的にウキウキモード。良いね。

9月20日 Sat 最後の稽古

 確かに音響はカッコ良かった。しかし、この時期、音楽総とっかえはもちろん予定されていたとは言え、タイヘンなことだ。頭から音楽のところを中心に、ってこの芝居、音楽のないトコのほうが少ないんだってば。この曲はこうリズムを取って、この曲はこう、と詰めていく。これと言って取り柄のない詩森だが、リズム感は比較的優れているほうだと思う。リズムに合わない動きを見ているとどういうワケムかほんとうに具合が悪くなってくるのだ。車に酔うのと一緒の原理なのだろうか。三半規管に直接なにかがアタックをかけてくるかんじだ。そんなこんなで俳優には申し訳ないが、ちょっとというかかなりイライラ気味の稽古。もうこれはホント、生理的な問題なのだ。そして、とある曲で、音とぜんぜん合ってないっ!と怒りつつ立ち上がり見本をしめそうとしてみたら、ナント、3拍子だった。ひぃーっ。この時期に3拍子。しかもイナタイ、ファンクだよ。いちばん日本人に向いてないリズムじゃん。このシーンは4人でやるのだが、全員ぜんぜんあってない。それぞれバラバラ。ほんとね。日本人て3拍子苦手よ。ハッキリとしたワルツでも取れないヒトが多いのに、こんな曲で取れというのがムリかも。と言いつつ、アヒルたちを連れたお母さんみたいに、ワンツースリーワンツースリーと泥縄なお稽古。というワケで、ほとんどゴハンも食べられず、早めのつもりの通しも押して、結局、いつも通りのスタート。芝居は今日でまた一段階アップしたとも思うけど、しかし、クダンの3拍子はやはり玉砕だったのでした。ふー。明日は小屋入り。

9月19日 Fri 音響チーム 参上

 昼はまずは高津でのこりの出道具発注。それを午後に八着が取りに行くという綱渡り。そして法政に飛んでいき、bev版「ユビュ王」観劇。これで全演目制覇。死んだ気で見たね。命がけで見た。でもいろいろ面白かったな。それから稽古。今日は308を終えた達平くんが通しを見ようと稽古場に。そして、ついに音響チーム始動。明日が最終稽古というのに、音楽総とっかえ。ああ。みんなリズム音痴だっていうのにダイジョブなんだろうか。がんばれみんな。でも最初からタクヘイはノリノリ。確かにカッコいいが、音楽ひとつ、鐘ひとつ鳴らすたび「どう。どうぼくの演奏。どう。どう。ぼくの選曲。」とわたしを見るのはやめておくれ。気が散るから。そう言えば今日は衣裳もついに上がってきたのであった。あまりの素晴らしさにさまざま驚く。ドレスのゴージャスさに比し、いまひとつゴージャスでない松岡の髪型が問題に。そして念願の初通しを見た達平くんは「楽しかった」との言葉と共に謎の微笑を残して去って行ったのであった。

9月18日 Thu そして。

 今日は静かに俳優と詩森だけで稽古。そして稽古。詰まってきましたよ。濃くなってきた。芝居。みんな怒鳴り散らしてゴメンよ。でもがんばらないと間に合わないからさ。今回はとにかくスピード上げてかないと。

9月17日 Wed でもって。

 寺田くんがアワアワしたままやってきた。「忙しいんだよ。俺。忙しいんだよ。」とちょっと涙目である。なので「でもさあ、君、白痴の打上げのとき、毎日のように、俺、弾くから、ユビュでギター弾くからさあって言ってなかった?」と聞くと、「言ってない」と言い張る。しかし、俳優たちから「言ってましたよ」と言われ、敢え無く撃沈。「でも3曲は無理だから」と訴えているので、「うん。一応、タクヘイにはそう言っといたよ」と慰める。しかし、実際タクヘイさんが来て、通しを見ると、今度は「ここもほしいなー、ギター」と何故か増えていた。スリリングな稽古場。さあ、寺田くんの運命はいかに。

9月16日 Tue ファンキーな音響家

 風琴工房の音響家、青木タクヘイは天才肌の音響家でその仕事には全幅の信頼をおいているのだが、ノリがラテンでかなりイージーな性格なのがタマに傷だ。今回、生演奏ということで相当せっついたのだが、なかなか稽古場に現れず、ようやく今日来たのはいいが、通しが終わった途端、こちらを振り向き、「これは、寺田くんに3曲作ってもらおう」と言ったのには仰天した。これだけ長い付き合いで、寺田くんがどれほど計画的に、どれほど時間をかけて音楽を作っているか知らないワケではあるまい。あの神経質な人が3日で3曲。「そりゃ無理だよ。」と言ったのに、「えーっだってこの作品、寺田さんの爆音ギター必要じゃあん」と意に介す様子もない。全くファンキーなヒトである。仕方がないので寺田くんに電話をして、「タクヘイがこんなコト言ってるよ」と伝えると、大慌てで、「あ、あした、用事あるけど、なんとか明日行くから」とアワアワしていた。そして「ねえ、いつから生演奏入るの」と聞くと、「うん。明日、寺田さんが来てから考えるー」と言い放つのであった。トホホのホ。

9月15日 Mon 初通し

 やった。通し稽古。まあ初なんでこんなものか。セリフがあやしくて、けっこうヒヤヒヤ。覚えておくれ。みんな。

9月14日 Sun 宣伝をとるか、ネタバレを自粛するか

 昼間から、またもネタバレともなり、宣伝ともなりそうなところで小道具を物色。なんせネタバレともなり、宣伝ともなりそうなので多くは語りませんが、いい年した婦女子(詩森・吉川・松岡)が昼間っから行くような場所でないことは確か。で、法政大学で5本目のユビュ王@チェルフィッチュ。コンビニ店員たちの壮大かつセコい闘争劇になっていた。5本中、いちばん知性派のユビュ王。しかし、やはり空間との相性という点において、難しい面もあったか。終演後、岡田くんのご厚意で声だし等、30分ほど稽古をさせてもらう。発声はなんの問題もなく、しかし、動きは相当頑張らないとダメだということがわかった。セコくチマチマ動いてもなんの訴求力もない。空間。強敵だなあ。そして食事を取るヒマもなく稽古。それはまたもやネタバレともなり、宣伝ともなりそうなとある技術の習得から。わたしたちの覚えはそれはそれは目出度く、6時間かかると言われたところが2時間で若葉マーク免許習得。無芸大食の風琴工房ではあったが、白痴での着付け・花魁メークの習得に続き、ネタバレともなり、宣伝ともなりそうなとある技術を習得した。その技術は詩森がずっと習得したかったもので、ほんとうに念願かなってのものである。嬉しい。というワケでネタバレ自粛を中心に書いたので、何がなにやら意味がわからないとは思うが、その答えは本番で。ぜひ来ておくれ。ぜひ!!

9月13日 Sat 308同盟

 もうここしかオフはないぞの土曜昼。11月に出演してもらう大枝さんのKAKUTAか制作の達平くんが制作をつとめる308同盟かふたつにひとつの選択。下北沢に手を向け謝り池袋へ。ひさしぶりの学生さんの演劇ということで、拙いといえばこれ以上ないくらい拙く、苦行のような2時間だったけど、そういうのはもう見に行く前から覚悟していたので、それよりもこの演劇以前みたいな表現がここから、ちゃんとした演劇になっていくにはなにが必要なのかなーなどということを考えていた。作家の子はパンフの文章とか読むと非常にいろんなことを考えているみたいで、それは面白かった。そして休むまもなく稽古。稽古。稽古。

9月12日 Fri ダイレクトメールはまだ出していません

 愛ちゃんと稽古場でいまさらDM作業をし、稽古後、日本橋郵便局まで出しに行こうと颯爽と自転車にまたがったところ、自転車がパンクしていた。これはなんとしてもDMを出させまいとする何者かの陰謀なのか・・・。諦めてタクシーで帰宅。明日、早く家を出てパンクを直し、投函せねば・・・。稽古は、新人椎葉ちゃんが休みのため、実近くん、岡田くん、松岡洋子、吉川の集中稽古。ここまである意味椎葉ちゃんにかかりっきりだったため、さしたるダメが出てなかった客演男優陣。突然たくさんダメを出され、実近くんはあっというまにイッパイイッパイになっていた。早すぎるよ。でもよくなった。どのシーンも。明日もまた、ここをツメにツメる予定。

9月11日 Thu 2年目

 台本ができたので、台本の話し。俳優から感想を聞き、詩森の演出意図を軽く述べると、岡田くんが「9月11日ですね。今日は。」と言った。ああ。忘れていた。昨日までは覚えていたのに。説明するときに、テロという言葉も、戦争という言葉もひとつも使わなかったのに、「9月11日」ということを岡田くんが言ってくれたのは、何か胸を打つような瞬間だった。今回、ずっとユビュフェスを見ていて、演出家がユビュ王という作品を通して何を語ろうとしているのかわからないな、というのはずっと思っていた。もしかしたら「ユビュ王」という戯曲自体が「語らない」という選択を演出家に強いるのかもしれない。なぜなら「ユビュ王」を通じてなにかを語ろうとするとものすごく陳腐になってしまうから。その「ユビュ王」に抗うようにして、テキストはズタズタに解体された。解体しないとなにも始められなかった。劇作家であるより演出家でありたいと日頃願うわたしであるが、こうしてみるとやはり物書きの視点で世界を切り取っているのかもしれないなどと思う。さあ、最後の一週間だ。最近「ユビュフェス、オオトリですね」と言われるたび、「いや。トリじゃなくてオマケなんで」と言って逃げ腰だったが、ホントにオマケになるのも悲しいので頑張らないとなりませんね。先行する作品がみんな頑張っているので、そのエネルギーも貰って作品を骨太く仕上げていきたい。本番まであと12日。

9月10日 Wed ユビュ ort.d.d+三条会

 見たわ。三条会。楽しかったわ。ステキだったわ。これから自分がやるということも忘れ、終演後、関さんに駆け寄り「いやーん。面白かったですう」と身もだえながら握手までする。ただのファン。でもいろんな演劇人を「ただのファン」にしてしまうのが、三条会のスゴイところだね。きっと。
 対するort.d.d は、一人芝居用にきちんとテキストを立ち上げるべきだったんじゃないだろうかとわたしは思う。やつれるほど頑張っている俳優さんのことを思い、少し残念だった。
 これで4作品。思っていたよりずっと参加しているカンパニーにとって得がたい体験になっているように思う。特にうちは最後だから、プレッシャーも日々大きくはなるけど、こんなふうに稽古期間を過ごせることの贅沢さについて思う。各カンパニーのチャレンジのひとつひとつがモチベーションに繋がり、座組みの志気を高め、俳優間の結束を固くし、そして自分たちの稽古場を相対化する厳しい眼差しともなっていく。観劇すればどうしたって言葉を尽くして話す。その対話の先にわたしたちの「ユビュ王」が待っている。面白いぜ。このフェスティバル。やってやろうじゃないの。「ユビュ王」。そんなこんなで入れ込み気味。本番まであと13日。

9月8日 Tue 

 構成台本、書き上げた。「本番2週間前なのにまだ書きあがってないんだってー」などとよく人様の劇団のことで騒いでいたが、自分がそうなった。バサッとカットしてあとはそのまま使うつもりが、気づいたら殆どの部分を編集し、脚本にない要素も加え、殆ど新作を書くのと変わらない(いやそれ以上の)手間であった。でも書くのは楽しかった。いろんな意味で過激な演劇をお見せできると思う。他カンパニーのユビュ王を見に法政詣でをしている間に空間の面白い使い方も浮かんだ。ただひとつ謝らなければならないのは、「うんこたれ」って言うことである。チラシにはほとんどケンカ腰で言わないって書いたのに。あと、スペシャルゲストのユビュ王様は出演しないことになった。あのチラシを作った5月からでさえ、思えばいろいろなコトがあったものだ(遠い目)。
 そう言えば今日はワークショップ研究会だった。目黒一中向けのワークショップの案を提出してプレゼン。9案のうちから6案選出するといういささか厳しいものだ。詩森が家を出る段階では6案に満たなかったので、これはこのまま不戦勝かな、と思ったら、いろいろやっている間にどんどんメールが来て、結局9案。でもって、全部読んだら、詩森の案だけ異常に地味なのな。そしてやっぱりハデなアイデアに評価も集まる。これはダメだなあ、と思っていたのだけど、なんとなく話の流れでわたしの案も採択になった。どうしてもやりたかったので嬉しいけど、今日からまた新たなプレッシャーに晒されるのかと思うと、それはそれでユウウツだ。まあいいや。じっくり、ゆっくりやろう。なにせ地味だし。キャラも立ってないし。

9月8日 Mon 実近くんの今日の質問

 ユビュ王はマンガ版というのがあるのだが、そのオナカにはチラシで御馴染みの蚊取り線香みたいなグルグルが書いてある。稽古開始前にススっと近づいてきた実近くんが「アレはなんですかね」と聞くので、わかるわけないじゃん、と思いながら、「指紋ですね」と答えてみる。「ああ、そうか。指紋かあ」と満足げに離れていく実近くん。いいのか。その答えで。満足なのか。それで。装置打合せで稽古場に来てくれた瀬戸じいにここまでできたところを見せたら「カッコイイですねー。」と無邪気に喜んでいた。そして「ノリちゃんや愛ちゃんと茅場町から帰るので詩森さんと(門前仲町には)行けません。スミマセン。」と言わなくてもいいことを言って帰っていった。さらに稽古後、今週、308同盟の本番を抱えている達平くんに電話したら、いきなり死にそうな声だったので、「大丈夫?」と聞いたら、「タタキが、タタキが辛いんです」と泣きだした(嘘)。大丈夫なのか。達平。泣いているのをなだめながら事情を聞いたところによると、どうやらセットが間に合わず、制作の達平くんも連日綾瀬までタタキに通っているらしい。こんなパソコンには強いがナグリには滅法弱い藤原達平、20歳が制作チーフを務める308同盟は、9/12−14 池袋小劇場にて。よかったら行ってあげてね。面白いかどうかぜんぜんわからないから責任持てないけど。そして10日からはじまるユビュフェスort+三条会はある意味、今回のフェスのメインイベントなので、行ってあげてね。皆様。それにしてもこんなにハードスケジュールだというのに今週は3本観劇。大丈夫なのか。詩森。本番まであと15日。

9月7日 Sun 稽古は続くよどこまでも

 今日も一日稽古。大の大人が集まっていったいなにをやっているのか、という有様の稽古場。集まった人が全員前向きで、非常に相性がよく、楽しい座組みだ。そんななか、実近くんのカワイコちゃんポジションは不動である。質問の大好きな実近くんはよく稽古の合間に詩森に近づいてきて、質問をする。詩森が真剣に答えると、「それはこういうことですか」、とかなりズレた解説をしてくれるので一同ズッコケる。その繰り返しである。まあ、それはいいけど、なんとか長セリフは覚えてほしいものだ。一日の最後にここまでできたところを復習。リピート。お、ちょっとグレードアップしたかも。面白いぜ。ユビュ王。本番まであと16日。

9月6日 Sat 一日稽古

 もういきなり一日稽古なワケです。この芝居全編ショータイムみたいなかんじなので、1ページ進むのにやたらと時間がかかる。新人椎葉ちゃんが新しい演出がつくたんびに顔を赤らているが、やりはじめると一番大胆なのは何故だ。しかもベビーフェースなだけにかなり堪らないかんじ。いいですよ。椎葉ちゃん。注目。そして一日稽古のオカゲで少しづつカタチがついてきた。本番まであと17日。

9月5日 Fri ミズノオト ユビュ

 今日はユビュフェス2番手のミズノオトを観劇。ちょっとだけ、ほんとにちょっとだけ戯曲へのアプローチの方向が似ているので、いろいろ考えてしまったけど詳細はナイショ。それにしてもファンドの問題がユビュとどう絡むのかは最後までよくわからなかったのはわたしが経済オンチだからか。風琴工房版のユビュメンバーがほぼ全員来ていたので、タイ料理屋でいろいろお話。装置の最終アイデアを思いつく。そのほか、いろんな企みが急ピッチで進められているわ。「スピード感」、ユビュにいちばん必要なのはなんだかんだとコレだと思うんですけどね。アレ・・・また苦手分野じゃん。ま、いいか。がんばりますーよー。

9月4日 Thu 衣裳あわせ

 今日は衣裳のフィッティング。これはステキになるね。素晴らしい。でも演出から出たダメ出しの殆どが「過激さが足りません」だというのはいかがなものか。でも愛ちゃんもW松岡も椎葉ちゃんもステキだったわ。で、稽古もしているのだけど、それにしてもチラシに書いたオトナなユビュ王、というのはコレなのだろうか?全カンパニー中、いちばんオバカさんなユビュ王になってしまいそうな気がするのは気のせいだろうか。そういえばまた達平くんが稽古場に来た。リーフレットの色校正を持ってきてくれたのだが、見た目にハッキリわかるほどやつれていた。もともとが超虚弱児体型なので痛々しさも並大抵のものではない。果たして達平くんは「ユダの食卓」まで生きていられるだろうか。心配だ。なんと言ってもその前に「ユビュ王」があるし、さらには彼が制作チーフをつとめる「308同盟」とやらも今月半ばに本番があるのだ。今日はそのほか、今回の演出の最重要事項となることの指導の件でとある方に深夜電話。この方とコンタクトを取っていることはそれだけで大きな情報宣伝効果がありそうなのだが、最大のネタバレともなってしまい、情報として開示できないというパラドシカルなことになっている。風琴工房ついに禁断の園に第一歩を踏み出しました、とだけ書いておきましょう。乞うご期待ですわ。

9月3日 Wed 忙しいいちにち

   新宿で達平くんと一瞬会って企画書を貰い、灯屋さんでお着物返して、西ケ谷くんと密談して、WS研究会に行って利賀での勉強会のビデオを見て、参加できなかったことの悔しさに身もだえし、それから稽古。今日から全員集合。でももうすぐ立ち稽古。アタマからどんどんつけていく。このメンツ面白いかもしれない。それにつけても気になるのは、客演 岡田宗介くん(近年ではort.d.d にて活躍中)の挨拶「楽しいです。鈴木メソッド」である。確かに風琴工房では鈴木メソッドを稽古に取り入れてはいるが、楽しいのは鈴木メソッドだけということなのだろうか。不安だ。
 そして今日からは実近くんが稽古に参加。いきなり不思議なカワイコちゃんぶりを発揮していた。この稽古場のカワイコちゃん的なポジションを取りたがるのは、なぜか男優に多い。記憶に新しいところでは「白痴」の「瀬戸じい」であり、意外なところではク・ナウカの阿部さんである。そういえば「瀬戸じい」は結局カワイコちゃんポジションはついに掴めなかった。このポジションを取るのはなかなかむずかしいのだ。ちなみに実近くんは必要以上に漢字が読めないことで、松岡のハートをガッチリ掴んだ模様である。成功だ。こんなバラエティ豊かなメンツで贈る風琴工房版ユビュ王、必見でーすーよ−。

9月2日 Tue 稽古初日

 初日である。初日なのに、脚本をすべて持たずに行ったのなんて何年ぶりかよくわからない。半分しかできてない。いや、もうちょっとあるのだが、確定分は半分なのでそこまで持っていく。しかも実近くんがいきなり休みで瀬戸じいに代読してもらった。そしたら結構おもしろいのな。原作の戯画っぽさがヤだったのに、こんなに書き直ししたにも関わらず戯画っぽい。恐るべしユビュ王。
 というワケで風琴工房版ユビュ王は、風琴工房なりに娯楽大作となる予定。それにしても稽古がもう終わる頃、バイトで徹夜し、殆ど死に掛けた状態で制作の達平くんが稽古場に来たが、いったい何をしにきたのだろうか。そして岡田くんのホームページ用の写真を撮った以外にはさしたる仕事も打合せもせず、「来てよかったです」と謎の言葉と妙に高揚した笑顔を残して去っていった達平くん。大丈夫なのだろうか。とは言え今日は初日。残ったメンツで初日飲みへと繰り出す。風琴工房の大冒険がいよいよはじまるワケですな。


9月1日 Mon ユビュ王

 「白痴」が終わってしまったことが寂しい。もっとずっとやっていたかった。次の公演も「白痴」がやりたいほどだ。でも「ユビュ王」が待っている。上演台本を書かなくては。今回の「白痴」もそうだけど、比べられるんだよね。ほかの6つのカンパニーと。いつもそんなこと考えずに作品を作っていた。「白痴」の時もあんまり考えなかった。でも今回はそうもいかない。演出だけ行うのが殆どはじめてだというのもあるけど、その自分のほかに6つあるというのにノレないと、自分が面白くなっていかない気がする。というワケで脚本を書いた。倒れるまで書いた。家のパソコンの前で倒れるまで。