ろばくん ROBA DIARY

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6月30日 Sat

 本番前の最後の観劇をしに、駅前劇場へ。利賀で一緒だったいのべくんが演出し、平良くんの出演するCAB DRIVERである。
 芝居は、代筆のラプレターを書いてしまう男とか、人が血を吐いて死ぬ、とか、現代劇とは言いつつも、かなり古典的な物語の枠組みのなかで進められていく。隣の家のマドンナに男どもがみんなして一目ボレっていうのも、いまどきそんな、というかんじだ。いや、ロミオとジュリエットだったり、シラノドベルジュラックだったりしてもいいんだけれど、そういう物語の枠組みはああいった舞台設定でリアルな関係性の中で描くのはとても難しいし、嘘っぽくなってしまうのではないだろうかなどと思ったのだが、どうなんだろう。
 それからひとつ気にかかったこと、聴覚障害の女の人がかなりペラペラと喋っていたが、ああいうことってあるのかしら。口話法と言って、聴覚障害の人でもかなり訓練を詰めばきちんとしゃべれることもあるけど、私の知識の範囲ではあそこまで適正なボリュームでしかもペラペラと明瞭に話せて、でも読唇術はできないし、というのはあり得るケースなのかしら、とちょっと不安な気持ちになる。私もそんなに詳しいわけではないので、演出家か作家がきちんと調べるなり、インタビューなりをして、ちゃんとモデルケースを設定して書いたのならばいいな、と思う私だ。調べてみたが、やはりよくわからないので、誰か詳しい方がいたなら、教えて下さいませ。
 夜は踊りダメな子組のレッスン。あれだけ「ダンスの時は一瞬たりともお尻はゆるめてはいけない」と繰り返し、繰り返し言っていたのに、今日になって「(締める時が難しいポーズの時も)常に締めているいるワケですね。」などというフレッシュな質問をするナツメ。いったいあの人は稽古場で何を聞いているのであろうか。謎だ。ちなみに締めるのが難しいポーズなどというものはダンスには存在しなくて、お尻を締めることととるべきポーズは常に連動している。締めないからヘンテコなポーズになるだけなのだ。ああ、もう全く。
 終わった後、シンゴとちょっとだけゴハンを食べに行くつもりが、ペラペラペラペラ話していてなぜか終電を逃す。まあ、私は自転車だったので、まるきり平気だったのだが、哀れシンゴは下北から歩いて高円寺に帰るハメに。そんな毎日。

6月29日 Fri

 愛ちゃん、裕子ちゃんと待合せして衣裳を探す。パルコ・パート3の上のリフォームもしてくれる古着屋さん。カワイイし、オシャレで広い。そこで、え、こんなに、というくらい試着したあげく愛ちゃんの上に着るプラウスをようやくゲット。
 裕子ちゃんのワンピースもそこで買おうかな、と店員さんを探しに行ったその時、隣の店にものすごく可愛いワンピースをマネキンが着ているのを発見。子供が着るユカタ地みたいなワンピース。即お買いあげ。次に植村さんと下北で待ち合わせして、ちょっとサイケな古着屋さんへ。スボンが欲しかったのだが、その店で売っている最大のズボンでも植村さんにはちょっと合わない。上だけ買って下は加工することに。ああ、また仕事が増えていく……。衣裳って楽しいけどタイヘン。
 その後、経堂で通し稽古。ようやく通しらしい通しになる。でもねー。まだまだイケそうなんだけど。そして稽古後は今日は大勢で飲みに行く。なんだか楽しくなってしまった詩森、大ハシャギ。でも経堂は終電が早いのでしぶしぶ帰る。ああ、もっとじっくり飲みたいものだわ。

6月28日 Thu

 今日はタタキ。
 会社で書類作りをしてからタタキ場へ。今日のメンバーは植村さん、マスター関根、愛ちゃんという北極カフェトリオ。名付けて北極工務店。タタキはほんとうに苦手なんだけど、関根さんも植村さんもおだて上手の教え上手なため、調子に乗り、どんどん楽しくなる詩森。夕方、企業訪問のためナツメが迎えに来ても、「もっとやりたい」と駄々をこねる始末。芝居を初めて20年以上(スタートは小学校の演劇部)階段作りの原理を初めて知ったワタクシ。詩森ろば、タタキ・デピューの夏である。
 ところで、今度の土曜日は稽古日だったのだが、今回とてもハードな舞台のため、その後7月半ばまで休みがないのはどうかと思い、思い切って稽古を休みにすることにした。しかし、ダンスやら動きやら歩き方やら、演技以前のところでどーよ、という何人かの人のために空いた稽古場を利用して特別レッスンをすることに。稽古じゃんと思うかもしれないけど、ほんと稽古以前の問題なので、詩森的には芝居の稽古ではなくレッスン。できることならお金を取ってやりたいくらいだ。
 と、ゆーワケで土曜日は稽古お休みでいいですよ、と関根さんと植村さんに言ったら、何を思ったのか関根さんが、「俺も行きましょうか?」と言い出す。ちなみに関根さんは夜中働いて稽古して、というハードな日々を送っている。そんな関根さんをおもんばかっての稽古休みだと言うのに、なぜ当の本人が稽古場にこなくてはならないのだ?といぶかしく思い、「え、どーしてですか?」とついつい聞き返す詩森。すると関根さん、涼しい顔で「いや。俺も教えに来ますよ」。
 お、教えに来てくれるんだ。
 そーいえば関根さんはほんとうに教えるのが好きである。
 詩森が振付をしていると覚える必要もない人の振付をじーっと見て覚えている。詩森が演技をつけていても、横でじーっと見ている。タテがうまくいかなくて悩んでいると、それもじーっと見つめている。そして、一通りのことを終えた詩森がその子の側を離れるやいなや、すすすーっと寄っていって、何か熱心に振りやらタテやら教えているのだ。教えるの嫌い、教えるのなんか演出の仕事じゃないもん、とすぐ投げ出したり怒りだしたりしてしまう詩森には信じられない行動である。
 まあ、でも関根さんが来てくれると確かに仕事が半減し、能率は倍になるので、来てくれるのは詩森的にはとてもありがたいので、「いいんですか。来てもらっても」と言ってみる。すると関根さん、満面の笑顔で「コンビですからね」と言う。
 コ、コンビだったんだ。知らなかったよ。今日の今日、今の今までさ。ぜんぜん。これっぽっちも。
 と、ゆーわけで、風琴掲示板でも「毎日来ます」なんてゆーファンまでいることが発覚した関根さん、歌って踊れてタタキも出来る美青年は、詩森の「相方」だとゆーことが発覚した今日のタタキであった。ま、いいか。どうせ相方なら、美しいほうが気分もいいしね。
 そして稽古。今日は帰ろうと思っていたら、例の作業のため松岡洋子が来てくれる日だということをスッカリ忘れていた。松岡が来るとあっては飲みにいかないワケにはいかない。しかもこの助っ人、稽古にすっかり見入ってしまい、ぜんぜん作業をしない、ダメダメの助っ人で、ただ飲みに来たと言っても過言ではない。全くもって役にたたないったらありゃしない。とゆーワケで下北沢西口庄屋、寿司食べ放題、すき焼き食べ放題、フリードリンク付きで1850円!!安い。「今日は帰ります」と弱気なことを言ってた割に、いざ飲み始めると日本酒をガンガン飲み、残った酒を最後まで飲んでいくから、とひとり残った植村さんを残し、終電で帰宅。

6月27日 Wed

 ……髪を切った。
 もうさあ。すっごい有様だったのだ。何がって、そう髪が。これは限界だな、と思ってからすら早2ヶ月あまり。美容院好きの詩森がここまで髪をボサボサにしてしまってはストレスどころの騒ぎではない。でもさー、どう考えても行ってるヒマないじゃん。毎日毎日稽古だし。オフの日はお芝居見るし。お金もないしさー。
 しかし、今日ばかりは限界だった。
 発作的に予約をし、客先に行く、とウソまでついて、ちょっと早めに会社をあがる。せっかくの美容院だからオシャレして行きたかったけど、着の身着のままヨレヨレのTシャツにジーンズ姿で代官山の「Rythm」へ。優しい美容師さん、ナカジマさんもさすがに呆れ顔のボサボサ髪。ほんとにゴメンナサイ。ステキなカットをここまで台無しにして。
 「どんな髪型にしますか」と言われ、「とにかくたくさん切って下さい。襟足も前髪もとにかくたくさん」とワケのわかんない注文をする詩森。すごいいきおいで切られていく髪。さすがナカジマさん。どんどんスッキリしていくわ。ああ、なんて至福のひととき。
 すっかり軽くなった頭で、今日は荻窪アール・コリンへ。最後のオフだが2年半ぶりに復活というツマヅキノイシを見に行くのだ。クーラーが壊れたとのことで、会場は異常な熱気に包まれていた。うだるような暑さの中、粛々と進められる不条理劇。もう少し役者さんがイキイキしていてもいいような気がしたけど、初日のせいか、クーラーのせいか?どーでもいいことだが、隣の席で常連なのかなんなのか、ずーっと笑っている女の人がいて、ものすごーく怖かったことだよ。

6月26日 Tue

 衣装の千鶴ちゃんが出来上がったものを持ってやってくる。かなりカワイイ。しかし、着てみると丈が足りなかったり、予定している靴では合わなかったりといろいろ問題も出てくる。そう言えばまだ誰も靴が決まっていないのであるが、どーしたものだろうか。取り急ぎ探さなくてはいけませんな。
 2回目の通し稽古。もちろんまだまだダメダメなんだけど、1回目よりはかなりマシなものに。まあ1回目がダメすぎただけとも言えるが。でも合同稽古やった後で、テープの音だとかなりテンションが落ちる。バスドラの響きがないとね。八尋さんのドラム、今回の主役かも。
 稽古後、音響の小島さんからとあるものを渡され、呆然。ど、どーしたらいいざんしょ。ええ、まあ、わかってはいたことなんですが。
 稽古後は怜雅ちゃん、シンゴと大戸屋でゴハン。ここ2、3日張り詰めていた座長モードがプツンと切れてしまい、ダメダメな詩森。芝居の話など一切せず、キャーキャーしゃべってたら大戸屋なのになぜか12時を過ぎる。それはいったいどーゆーことなの?でもコーヒー飲んで700円。いいね。大戸屋。美味しいし。

6月25日 Mon

 とある小道具を特注。ほんとは既製品で間にあわすつもりだったが、そんなものはどこにも売っていないことにようやく気づき、特注したのだ。
 そして、今回は、なんと、特注の小道具がふたつもあるのだ。ひとつはストーリー上も演出上も大変に重要なアイテムだが、ひとつは特注する必要なんてこれっぽっちもない馬鹿馬鹿しい品である。でもどーしても、どーしても、やってみたかったのだ。しかも必要ないものにしては結構なお値段。もちろん重要アイテムのほうは小道具としてはかなりの高額商品である。どれとどれが特注品かは本番でぜひ当ててみてほしい詩森だ。
 稽古はまた細かく返し稽古。動線整理して、新しい演出つけて、振付けの訂正をして、ああ、アッというまに時間が過ぎていく。

6月24日 Sun

 今日も自転車で稽古場へ。
 通しの時に問題のあった導入部分を徹底稽古。こうなってくると詩森の演出は細かい。最初の長セリフの一挙手一投足まで演出をつけられ、シンゴは大変なことに。返す刀で西嶋くんの立ち姿にもメスを入れる。腕の納め方と体重の掛け方を徹底的に。阿部さんが演技を再考してきてくれたお陰で、ピリッとしたプロローグが出来上がる。
 その後、いちばん問題のあったシーンをじっくりと。とある女優さんが言葉のやりとりだとどうしても勘違い方向に行ってしまうと気付いたため、一度イメージを伝えるためやってみせる。こんな若くて可愛い女の子の役はどうしてもやりたくなかったけど、背に腹は代えられない。その役の代役をやっているところは誰にも見せたくなかったので、他の役者を人払いしてまでやる。
 これでダメなら万策尽きたな、と思いきや、スルスルスルスルそのシーンがよくなる。いきおいに乗り、その子の出る別なシーンもやってみるが、ビックリするほど、スムーズに流れる。うーむ。役者って生き物はやっぱりよく解らない。ああ、それにしてもあの役だけは二度とやりたくない詩森だ。
 夜はバンドと合同稽古。心配されたドラマーの八尋さんもやってくる。神経痛は今のところないそうだ。このまま順調に回復しますように。それにしても合同稽古は燃える。一日中やっててもいいくらいだ。サイスタジオ前に合わせるべきところは全て合わせて合同稽古は終了。
 稽古後はみんな帰ってしまったが、取り残されたシンゴと近くのカンボジア料理屋「アンコール・ワット」に。ひさしぶりに行ったけど、安くてほんとうに美味しい。ふたりきりでないとできない話をチラチラとして、いい時間を過ごす。
 明日から最後の2週間が開始。やりますわよ。

6月23日 Sat

 こんなにこんなに忙しいのに、今日は芝居のダブルヘッダー。昼は早稲田の劇研チャリT企画。お客さんがいっぱいだった。回転舞台を使った演出がリズミカルで、ああ、こーゆーのは若い子には敵わないな、と思う。でも、内容もちょっと若くて、アンダーな笑いをやりたいのなら、もっと自分に冷たくないといけないんじゃないかな、などと思う。それにしても吉本さんはいい女優さんだわ。
 夜は紅王国。こちらも満員御礼。パンフに大きく『風琴工房「Sol Plastic」』の文字が踊っていたのでなにごとかと思ったら、その上に「寺田英一出演!!」と書いてあって二度ビックリする。しゅ、出演だったんだ。隣で偶然一緒だった桐野さんと面影さんもキャーキャー騒いでいた。後で、作・演出の野中さんにそのことを言うと、「いや、寺田が出演って書いておけって言うから」。じ、自分で言ったんだ。確かに主演のシンゴより長い時間舞台にいるけどさ。それにしても。おもしろすぎるよ。寺田くん。
 芝居はここのところの紅王国の芝居の中では詩森は好きだった。でもこれだけいい役者さんがいて、スキルも高くて、もちろん野中さんはホンが書ける人なのだし、もっといいものになりそうな気がするのは、私だけなんだろうか。生と死というものを扱う場合、死の悲劇性ばかりがクローズアップされてしまうのは、どうなのか、と私は思う。最後、沼にある魂たちが死にたくない、死にたくない、と叫ぶのだが、その瞬間に役者の生きる力というか、パワーみたいなものが逆説的にあからさまになればよかった、と私は思う。それが野中さんの望むところかどうかはよくわからないけど。
 今、やっている芝居の稽古場で、そのことを望み、今のところ得られてないために、いろいろ思うことも多い舞台であった。
 芝居の後は、もちろん飲みに行く。ここの男優さんたちはとてもタタキが出来るので、声のオクターブをあげ、日頃しないメークまでして、仕込みを手伝ってくれるようお願いする。女座長、劇団員も女ばかり、南京結びのスキルすらない(覚えろよ。それくらい)風琴工房としては、まわりの皆様の愛情と同情がなければとても公演が成り立たないのだ。紅王国の皆様、どうぞくれぐれもよろしくお願いいたします。

6月22日 Fri

 大井競馬場前の倉庫に田村くんの作業の様子を見に行く。巨大な書き割りを書いているのだ。田村くんは「立てちゃうと小さいものです」と言うが、巨大な書き割りは、文字通り巨大であった。10畳ほどのスペースで黙々と作業する田村くんを残し、詩森は自転車で稽古場へ。  今日は初通し稽古。
 初通しがガタガタするのはいつものこととは言え、ここ数回の芝居の中でというか、記憶に残る様々なダメ通し稽古の中でもいちばん酷い通し稽古であった。どれくらい酷いかと言うと、途中で通しを止めようかと思ったくらいだ。
 どんなに酷い稽古でも稽古が終わるとすぐ切り替えのつく詩森だが、今日ばかりは飲み屋に行ってもウツが晴れない。激しいダメを出された女優が飲み屋の片隅で泣いてたりするのがまた腹が立つ。どうして役者というのはああも自分のことばっかり考えていられるのだろうか?羨ましいくらいだ。
 帰り道は自転車で、大きな声でセリフをがなりながら帰る。稽古が上手くいかない日はそうやって夜道を走る。なので、公演が始まるころにはいつも丸ごと脚本を覚えてしまうのだ。
 それにつけても、自分以外の人間を使って、あることを表現していくことの、この遙かさよ。無駄さよ。けれどその果てにある圧倒的な魅力よ。

6月21日 Thu

 代田児童館で稽古。踊りの抜きをやったんだけど、こう、踊っちゃったらさ、ダンサーにかないっこないじゃん、と思うのよね。表現しないと。役者としてさ。それにしても、若い子の体に感情ののらないことといったら、驚いてしまうほど。仕方ないので、こうやると感情がのります、などと教えていると、体に感情をのせるっていうのも、以外に単純なテクニックによるものなのかも、などと思う。若い子ほど精神論で考えてしまうらしく、体にのせてと言えば言うほど、頭の眉間のあたりに気が集中してしまう。いや、そうじゃないんだってば。
 稽古後はブーフーウーで劇団ミーティング。7月から一日稽古の稽古場に入るので、もう来週小屋入りも同然だ。衣裳と小道具を来週いっぱいになんとかせねばならない。じ、時間が。でもやらなきゃ。やりますともさ。

6月20日 Wed

 今日は詩森的には最後のオフ。なぜならこの後のオフには全て観劇の予定が入っているのだ。友人・知人の芝居ばかりだけど、見逃せない、見逃したくない芝居が多すぎる。
 明日の稽古場の手続きをして、衣裳を探し、家に帰って今日はチゲ鍋。これも本番前、最後の自炊だな。鍋だけど。
 いろいろ仕事もある気がするけど、今日くらいは体を休めようと12時くらいにフトンに入る。しかし、眠りにおちてすぐに電話が鳴ったので、出るとそれは寺田くんであった。彼は今、風琴工房の他に、紅王国の本番を抱えていて、たいへんハードな日々を送っているのだが、それが一段落ついたらしく、一応用事があってかけてきたとはいえ、無駄話をしたい雰囲気が電話線の向こうからありありと伝わってくる。なので、ついつい無駄話につきあう。向こうが忙しい時はニベもなくガチャンと電話を切られるというのに、寝ていても機嫌よく電話に出て、しかも3時過ぎまで電話に付き合ってしまう、ほんとうに人の好いワタシだ。
 関係ないけど今「沈黙の歴史」という本を読んでいて、結構面白いのだけど、「その考え方どうよ」という気分になる箇所が多々ある本でもある。保守系知識人にありがちな論理展開に辟易。左とか右とか悟られるような思想しか持ってない人ってほんと困りもの。ま、ただのグチなんですけど。

6月19日 Tue

 ユニークポイントの安木くんがとある作業を手伝いに来てくれる。たいていの見学者とかお手伝いの人がそういうハメになるのだが、安木くんが来たとき我々は肉体訓練の真っ最中、つまり踊っていたのである。そんな時、人は「場所を間違えたか??」という顔になり、泳いだような視線で私の姿を探している。そりゃあそうだよね。小劇場系の稽古で今どき、全員で肉体訓練とか発声練習とかする劇団はそんなにない。そういうのは良くないことだと信じている演出家も多いし、私にしたって恥ずかしいからできればやりたくないけど、背に腹は変えられない。だって踊るし、エレキが鳴ってる横でマイクなしで声を出すんだもの。やることやっとかないとノドつぶしちゃうよ。
 今日はラストの続き。最後まで通したかったけど、細かく動きと演出をつけていたら、時間切れになり、ラストの退場のところがつけきれなかった。残念。
 終わった後、眠亭でゴハン。

6月18日 Mon

 朝6時、西嶋くんと渋谷で待ち合わせ、のつもりが、品川に着くと電車の間隔が30分くらい空いていて間に合わないことが発覚。6時15分渋谷着。素晴らしいサスペンションの2屯トラック。道路の凹凸に愉快なほど反応する。まるでエアポケットに入ったときの飛行機みたいで、缶コーヒーもおちおち飲めない。
 それでも約束の7時には全然余裕で目白着。門が開くのが7時なので待っていると、徒歩組のナツメがボーッとしてやってきて、そのまま鉄の扉をガチャンガチャンと開けようとし始めた。門の向こうの守衛さんもビックリして彼女を見つめている。しかし、何も見ていない目のまま、ガチャンガチャンとトライしつづけるナツメ。怖い。怖すぎる。
 7時になって門が開き、劇団員と美術の田村くん、西嶋くんでパネルを運ぶ。途中で助っ人愛ちゃん夫もやってくる。なので、あっというまにパネルは運び終わる。しかし、ここからが大問題。そこにいただーれも、荷積みの仕方をよく知らないのだ。もちろん南京結びもできない。しかもトラックは平ボディ。更にパネルは平置きできない大きさ。あーでもないこーでもない、とたかが21枚のパネルを積み込むのにたっぷり1時間。このロープ、ちっとも効いてないよね、という状態で文字通り見切り発車でトラックスタート。じ渋滞だったせいで、時間はかかったけど、10時に絵を描く倉庫に無事到着。風が強い日でなくてほんとーぉに良かった。
 会社に行ってから稽古。今日の稽古場は天井が高くてほんとうに素晴らしい稽古場だ。稽古場の隅っこでシンゴ、西嶋、阿部のメイン3人とちょっと話してから、丁寧にラストを見ていく。で、ラスト付近を稽古。お。ちょっと火がついてきたぞ。と思ったら、何か化学反応がおきるようにいろんなものが変わりだし、この芝居のターニングポイントとなりそうな稽古になる。
 勝算、出てきましたよ。いけますよ。「Sol Plastic」。
 こうして見ると、やっぱりダメなのはシンゴだったんじゃんねえ。「まわりに振り回されたい」とか言ってる場合じゃないんだっちゅーの。あんたがまわりを振り回して行けっちゅーの。主役なんだからさああ。明日、ラストの続きをもう一度やったら、木曜日か金曜日に初通しが出来そうだ。予定では今日、のつもりだったので、ちょっとずれたが、まあ誤差の範囲。なんて計画的な劇団なんざましょ、と自我自賛して、本日の日記はこれでおしまい。

6月17日 Sun

 今日から日曜日は昼夜稽古。ちょっぴり暑いけど、張り切る詩森は自転車で稽古場に。裏道を通って気持ち良く稽古場着。ラストまでようやく通して、振付も付けて、夕方からは移動してバンドと合同練習。代々木の音楽スタジオで。
 ドラムの八尋さんが「病院に行っていたので」と遅れてきたのだが、日曜日なのに病院?といぶかしく思った詩森。「どうしたんですか」と聞いてみる。「いやあの帯状疱疹で」……タイジョーホウシン。そりゃあの神経に沿って疱瘡がダーッと出来ちゃうアレ?菅原さん(詩森夫)もこの間なったとゆーヘルペス?しかも八尋さん、今日2回点滴をして、練習終わったらもう一度点滴を打ちに行くのだと言う。あのね、帯状疱疹をバカにしちゃいけないよ。ちゃんと安静にしてなきゃ死んじゃうよ。
 でも練習。いいのかな。ドラムなんて叩いて。途中「大丈夫ですか?」と聞いたら、「叩いている時は大丈夫です」なーんて言ってる。ひえーっ。でもまあ叩いて貰わないと練習にならないので、叩いてもらう。ごめんね。八尋さん。死なないでね。八尋さん。
 練習後、さすがに「今日はかえろっかな」などと弱気なことを言っている寺田くんとよっちゃんを連れて飲みに行く。だって今日は自転車なんだもん。飲みに行かなきゃ!!明日は朝6時に西嶋くんと渋谷で待ち合わせしてトラックでパネルを運ぶ予定だった気がするが、気にしない。そう、だってなんつーても今日は自転車だからね。

6月16日 Sat

 今日も朝からタタキ。今日はマスターこと関根さんも参加してくれる。いや、ほんとは昨日思いの外進んだのでこなくてもいいと言ったんだけど、植村さんから某大学の女学生が可愛いという情報を聞きつけたらしく、徹夜で仕事していたというのに駆けつけてきたのだ。全くどいつもこいつも。
 詩森がちょっと遅れてタタキ場に行くと、タタキ場が爆笑の渦につつまれていた。なにごとかと思ったら、それは新人清水怜雅の釘うちがあまりに拙いことによるのだった。だいたいパネル釘一本たたくのにゆうに2分くらいはかかるのだ。いったいぜんたいそれはどーゆーことなのか。ナゾだ。
 マスター関根が女子大生がとおるたび仕事が中断していたにも関わらず、タタキは午前中には終了。詩森は一路大井町に向かう。
 突然ではあるが引っ越すことになったのだ。
 今の家は家賃が高い上、駅から遠く、菅原さん(詩森夫)は通勤に結構時間がかかるということで、更新を機に引っ越すことにしたのだ。まあでも引っ越すのは公演終わってからなので、ゆっくり探せばいいよね、てなものであった。一軒目の不動産屋でちょっと広めの1LDKを見る。部屋はボロいが、11階ということで眺めは最高。しかも大井町の駅から3分。ちょっと心は動いたが、不動産名人をもって任ずる詩森レーダーの反応はいまいちだ。ので、「検討します」と言って本日2軒目の不動産屋に。この不動産屋が、もう入ったとたんに相当面白い不動産屋であった。小倉ヒロアキ似のオヤジとそのオヤジとの関係性がよくわからない太地喜和子似の女店員がいて、かなりダメダメなかんじである。またその女店員ときたら、ほんとうにビックリするくらい仕事が出来ないのだ。そしてオヤジは「昨日から風邪ひいちゃって熱があるんですよ」と言いつつ、トーク、そして、トーク。あまりにも面白すぎて、そのまま「静か系」の芝居の舞台にできそうな不動産屋だ。
 そこで図面を見てピピピとくる物件発見。詩森レーダーがピコピコ点灯を開始する。「いやあ、その物件ね。綺麗ですよー。内装。」とブチあげるオヤジ。「でもねえ」……でも、なんだろ。「寺の参道を通って行くんですよ」……て、寺の参道??「皆さん、それでねー、躊躇されるみたいで」………いいじゃないですか。寺の参道。おもしろいっ!!見に行こうじゃありませんか。
 仕事が出来ない上に方向音痴の女店員に連れられ部屋を見に行く。女店員はなにせとんでもない方向音痴の上に地図も読めない様子なので、詩森が地図を見てあげて道案内をする。おかげで現地に到着する頃にはその太地喜和子似の女店員にすっかりなつかれてしまう詩森だ。
 さてくだんの物件であるが、これが住宅密集地にあり、火事でもおこったら煙にまかれて死ぬな、というような場所である以外は、実に素晴らしい物件であった。小さくて可愛い一軒家。品川駅から徒歩12〜13分。庭先に間口2間のちっちゃーい「寺」付き住宅。しかも今のマンションより広くて安い。
 即決。
 いつもなら詩森以上にクヨクヨ悩む菅原さん(詩森夫)も迷いなく即決。
 というワケで詩森、公演終わったら引っ越します。これで終電を逃す心配はもうないわ。なんたって最寄り駅は品川ですもの。渋谷だろうが新宿だろうが自転車で行けるし、稽古がない時は会社だって自転車で行くわ。最高。菅原さん(詩森夫)も会社までググッと近くなり、近所には詩森の大好きな運河もある。皆様ぜひ遊びにいらして下さいませね。ほほほ。

6月15日 Fri

 で、今日は朝からタタキなのであった。都内某大学をゲリラしてのタタキ。心よくタタキを手伝ってくれた植村さんと強力助っ人の春ちゃんこと春山さん、それから急遽来てくれた愛ちゃんのダンナさんのオカゲでアッというまにパネルが出来ていく。早いー。おどろきー。
 そして稽古。遅刻者が多かったためはじめのほうちょっと稽古にならなかったので、昨日のバンド練習での気合い負けにちょっとカツを入れるか、と思ったら、ギアが入りすぎてしまい、お前はヒットラーか、という有様で演説してしまう。いや、そんなにみんな悪くなかったんだけど。全ては遅刻した阿部ちゃんと関根さんのせいである。
 そして稽古場は経堂。ということは寺田くんが来る可能性がある、ということだ。もう来ないかも、という9時近く。ガタンとドアが空き、青白い顔をした寺田くんが現れた。でもさすがに飲みにはいかないだろう、と思っていたら、稽古が終わるとさっさと道を渡る寺田くん。寺田くんちは道を渡らなくても帰れるので、それはとりもなおさず飲みに行くということだ。飲み屋では今日の稽古場で犠牲者となった氷河期博物館チームがキーキーと反省会をしていた。反省しているのに追い打ちをかけるように説教までする詩森。ほんとうに始末に負えない。でも今日はちゃんと終電より前の電車で帰る。よしっ。(当たり前だ)
 

6月14日 Thu

 今日は初のバンドとの合同稽古であった。30畳と謳われているスタジオに入ってまず唖然。せ、せまい。しかし、ここで我々は踊らなければならない。ドラムセットを動かしたり、いろいろしてようやくなんとはなしにスペースがとれる。
 で、練習。うわっ。やっぱりカッコいいっス。しかもものすごく。やっぱりテープとは全然違う。だけど、生音になってノリノリになるものと腰がひける人、というのがあからさまに分かれることが判明した。しかもノリノリになる人は別にそこまでノリノリになる必要はなく、ノリノリになってほしい人ほど腰が引けるのは問題である。
 そんなこんなで練習は終了。もう11時を回っているというのにスタッフ・ミーティング。今日上がってきた装置プランのことで、いきなり大問題が発生し、ミーティングはオオゴトに。あっというまに終電を逃す。ナツメ邸に泊めてもらうことにしたのはいいが、送ってくれた舞台監督の八着くんが「飲みに行こう」と言うので、ついつい飲みに行く。時間は深夜1時30分。サクッと飲んで、解散して2時30分。さあ、寝るか、という段になって携帯が鳴り、出てみるとそれは寺田くんであった。今日の合同稽古についていろいろ話している間に、アッというまに3時30分。命からがら就寝。

6月13日 Wed

 今日は稽古オフだが、なぜか劇団員総出で山の手事情社の公演へ。もうね、正直言うと、オフの日になんて劇団員に会いたくないのよ。でもさ、しょうがないじゃん。今日しか山の手行く日ないしさ。というわけで、山の手事情社。連日の疲れもあり、寝ちゃったらどーしよー、なんて思っていたら、ちゃんと目パッチリ。集中して見る。面白かった。シロウトみたいな感想でゴメン。でも面白かったよ。ホントに。安田さんもゴキゲンぽかった。評判いいんだろうな。そりゃあきっとね。
 終演後はユニークポイントの山田さんとそこに出ていた宮城さん、そして、うちのメンバーという珍しい顔合わせで飲む。結局飲む。利賀でもこの作品を絶賛していた山田さん、その時は「そーですかねー」なんて言ってた詩森が、「面白かった」「面白かった」というものだからとても満足そうだ。そして宮城さんは詩森の心のアイドル、チェコの人形アニメ作家、シュワンクマイエルの映画の配給元に勤めているんだと。なんでも夏にシュワンクマイエルが来日するとか。「絶対呼んでくださいね」とかキャーキャー言ってたら、そんなものには何の興味もない山田さんに「詩森さんほんとそういうの好きだよね」とニベもなく言われる。なんか自分が一介のオタク野郎になった気分だ。そんな詩森が昔からなりたいもの。それはカルトなマニアである。どちらかと言えば趣味はカルト系だが、広く浅くが災いして、深さが圧倒的に足りない。深くないと当然マニアとは呼べない。とても残念だ。スープを飲めばどこのラーメンか当てられるような、そんな専門分野をひとつは持ちたい詩森である。いや、そんなもの、絶対なんの役にも立たないんですけど。
 

6月12日 Tue

 フラジャイルの小里さんと桜井さんが稽古場見学。彼らが入ってきた瞬間、我々はシェネの最中だった。シェネというのは、ダンス用語で回転である。当然サキちゃん以外はロクなもんではない。仕方ない。そりゃあ見学の人にはいいところを見せたかったが、いきなりシェネだったのでかえって諦めがつく。トホホ。稽古、最初はダンスとか動きのシーンから。これも悲しくなるようなシロモノだったが、そんな稽古を始めてしまうと一日また無駄にしそうだったので、とりあえず問題点をココロのメモに書き入れて芝居の稽古に。
 今日からラストをやるつもりだったけど、西嶋くんがちょっと悩んでいる様子だったので話をし、日菜子とのシーンから。他愛ないシーンだけど、ここをつくっとかないとラストも絶対繋がらない。なんだかんだと1時間近くかかる。台本にして1ページ弱。
 そしてようやくラストシーンを始めたが前々から申し渡してあったナツメの長ゼリフの演出がまるきりの勘違いのもとに自主練を進めてしまっていたことが判明し、いきなり稽古、つんのめる。全く持ってあのズンドコ節のようなリズム感はなんともならないものだろうか。なのでクライマックスの全然手前で稽古は終了。全ては今週末に持ち越しに。
 稽古が終わって見学のおふたりも交え飲みに行く。小里くんといろいろお話。帰り際にフラジャイルの新作を渡される。零号だって。「感想を」と言われ、そんなことやったことも頼まれたこともないから、急に緊張してしまい、電車と家で一気に読む。で、いろいろ考えていたらすっかり眠れなくなってしまう。なのに、明け方隣家の怒声で目が覚める。「殺人事件とかに発展したらどーしよー」と思いつつ、体が動かない。大田区で今日、殺人事件が発生していたら、叫び声を聞きながらも寝ていた詩森のせいである。都会の死角は我が家にもある、とゆーことで。
 

6月11日 Mon

 タイトな稽古が続いていたので、チームごとにちょっとづつ詩森が話をして、その後、8時くらいまでゆるゆる話をしていてもらう。今回のような混合チームだと意識のすり合わせを言葉でするのも必要かも、と思ってそうしたのだが、これが結構ハマり、稽古を開始すると昨日滞っていたシーンがすべてスルスルと出来上がる。別な役者がやっているみたい。ふーん。こういうものか。

 大阪の小学生殺傷について考えざる得ない。

 外国では司法が措置入院の権利を保有している場合が多いという。「何かやりそう」というだけで入院させるのは人権の蹂躙というのは一理あるが、責任能力を問えないほどの重篤な精神病患者にとって社会生活を普通に営めというほうが人権蹂躙なのではないか、という考えが前々から私にはあり、そのことをつきつめて考えるべき時がきているのかもしれない。精神病院に入院する=人間失格、という図式そのものが問題で、精神病の人は精神を病むだけでも苦しみを強いられているのに、その治療のための適正な環境を得ることに不当な差別があり、劣等感を持たざる得ないことが問題だと思う。精神鑑定についてはそれなりに勉強していたつもりだったが、これを機会にきちんと調べ、そして、また考えないといけない。またそれとは別に精神病患者の不起訴が多すぎるのは、検察側が勝つケンカしかしたくない、という心理がはたらいているのではないか、という疑念もあり、これももう少し調べたい。それから、各テレビ局、被害を目撃した小学生に群がってインタビューしていたが、いったいどういうつもりだろうか。震災以前ならともかく、PТSDがこれほど周知となってもそんな愚かしい行動を平然ととるのはなぜか。
 こういった事件が起こるたび、現代には様々な目に見えぬ問題があり、それは複雑に絡まりあい全貌が見えなくなっているのだということを思い知らされる。それにしても今回のことはほんとうに胸が痛む。けれど、小学校のセキュリティの厳重化、ということや、精神病の患者に対する量刑や法律の改正、などという対症療法的なところで事を済ませてほしくない。私も考えなくてはならない。真剣に考えなければならない。

6月10日 Sun

 今日は自転車で稽古場へ。久しぶりなので、1時間近くかかる。アップの前にもうすっかり体があったまっている詩森。みんなに「顔、赤いですよ」と笑われる。でもいいの。自転車大好き。そして、今日も一曲振り付け。振り付けするたび課題が増える。稽古もするたび課題が増える。ひとつ良くなるとふたつだめになる。そんなことの繰り返し。うーむ。課題も問題も人それぞれなのがけっこうやっかい。次の作戦を立てなくては。
 タービンがチケットの件で、千鶴ちゃんが衣装の件で稽古場に来る。糸音役のワンピースの丈合わせ。なんて可愛らしい。このワンピースのデザインは詩森も千鶴ちゃんもお気に入り。いきおい力も入る。しかし、中に入れたパニエだけで4メートル、スカートで更に4メートル、あーんな小さなサキちゃんの体に10メートル近い生地ってなんだかスゴイ。
 話は変わるが、風琴工房名物に「顔ダメ」というのがある。詩森からいきなり「顔がダメ」と言われてしまうのだ。これと同じくらい有名なダメに稽古着ダメというのがあるんだけど、それはさておき、「顔ダメ」というのは表情と表情筋の使い方に関するダメ出しである。さすがに自分で呼んで来た役者に顔の造作のダメ出しはしない。今日これを食らったのは真吾とサキちゃん。初めてこの顔ダメを食らったサキちゃんが稽古後の着替えの時、キャーキャー騒いでいた。ナツメなどは慣れたものだが、初めてだとやはり衝撃を受けるらしい。風琴工房では、油断しているとダメを聞いているときの顔にまでダメが出る。まるでヤクザの因縁である。でも顔はココロの窓なのでね。
 稽古の後はタービンとお茶でもしたかったのに、逃げるように帰ってしまう。まあ、用事があった様子だが。仕方ないので阿部様と横山裕子ちゃんと下北でゴハン。ドリアを食べて、自転車で帰る。いよいよ本番一ヶ月前。明日こそラストシーンの稽古が出来ますように。

6月9日 Sat

 みんなは朝からフリーマーケット。詩森はアサイチで用事を済ませてから代々木公園へ。すごい炎天下。もうほんのちょっとでグッタリ。しかし詩森は売り子もそこそこにフリマを徘徊。衣装を探す。なんといっても季節はずれの毛皮を探さねばならぬのだ。その結果、代々木公園中の毛のついた衣料は殆どの詩森の手中に収められる。もちろんこんな時期そんなもの置いてても売れるハズもないから、売れたほうも大喜びだ。けれどこちらにしても毛のコートなんて今時期、古着屋にも置いていないので、ほんとうにフリマ様様である。最も1月にはホンが上がっていたんだから寒いうちになんとかすべきだったという話もあるけど、まあ結果オーライということで。安かったしさ。
 夜は天王洲アイルにreset−N「キリエ」を見に行く。平田オリザさんがいらしていて、「君のところの公演はいつなの」とおっしゃるので、「7月の12日から17日です」と答えると「行けたら行くから」と言ってくださる。「あ、でも、せっかく初めてオリザさんに見ていただくのに、今回、ほんと、いつもと違うんです」と言うと、「誰でもみんなそういうんだよ」とニベもなく言われてしまう。いや、ほんとにものすごくいつもと違うんですってば。
 そんなオリザさんも交えて今日も飲みに行く。オリザさんの口からはここには書けない青年団の酒席でのこんな失態、あんな失態が次々語られる。「静かな芝居」の意外なほどに激しい舞台裏を垣間見た思いだ。ふーむ。まだまだだな。風琴工房。何がまだまだなのかはよくわからないけど。

6月8日 Fri

 ぴあで情報宣伝活動。三重さんにお話を聞いてもらうと同時に、こちらからもぴあの誌面構成についてやチケットぴあについて気にかかっていたことを熱烈インタビュー。へえ、はああ、そうなんだあ、というような意外な事実もいろいろお聞きする。聞いてみないと何事もわからないものね。
 それから稽古。稽古場の前に枇杷の木があったのだが、マスター関根、躊躇なくひょいっと手を伸ばし、枇杷をもぎ取り食べ始めた。ビックリ。初めて見たよ。あんなことする人。
 稽古は稽古場のあり方を少し話してから、昨日の続きをやろうと思いきや、その前段階で出来ていたハズのシーンが滞り、結局ずうっとそこを稽古するハメに。三百六十五歩のマーチが耳の奥で鳴り響く。しっかりしてくれよ。鉄村夏芽。頼むよ。齋藤真吾。
 明日のフリマに備えて今日も飲まずに家に帰る。飲まない日はなんだかとっても達成感。帰りの電車で何を勘違いしてしまったのか詩森、関根さんと阿部さんに「都営線直通は新宿にはとまりません」とウソをつく。新線新宿に止まるじゃんねええ。なので、ごめんねメールを出したら、マスター関根からたった一言「いいってことよ」と返事が来た。あんたは寅さんかっちゅーの。

6月7日 Thu

 北極組の特集稽古。前々からやっているシーンをサクッと終わらせ、次のシーンに行くつもりだったが、稽古滞る。滞る。すっごい無邪気なシーンの筈なのに、なんでしょうか。この緊迫したムード。まあ、でもようやくなんとか形に。そして、次の場面に行くと、セリフがただただアヤシイことが発覚。これでは稽古にならないので、セリフを覚えて下さい、と指示を出し、氷河期組の稽古をやる。ずっと自主稽古をやってもらっていたそのシーンは自主稽古をしている間に、結構とんでもないことになっていた。そろそろ演出の出番である。おしっ。やるぜ、と思ったら時間切れ。詩森のやる気も明日に持ち越し。やりますわよ。

6月6日 Wed

 今日は稽古オフ。オフの日にはゴハンを作りたかったが、家のカギを忘れて家を出てしまい、仕方ないので、菅原さん(詩森夫)と待ち合わせて外食。大森駅前のタパスタパスはチェーン店なんだけど、前菜が安くて美味しい。前菜を何品か取って、最後にパスタをひとつで充分オナカいっぱいに。タコとジャガイモのピリ辛炒めとカニのパスタが美味しかった。
 家に帰ると殆ど気絶という状態で寝てしまう。しかし、2時頃目が覚め、今度は眠れなくなる。珍しく寝酒にカシスの水割りを飲む。美味しい。これから毎日これを飲もうと決意する詩森。でも外だとカシスソーダでも貧血起こすことがあるので、やっぱりお酒は家限定。ダサイ。

6月5日 Tue

 カラオケに行った。ニューマスター関根さんの親睦会としてである。どうでもいいけど詩森はカラオケが嫌いだ。行っているときは楽しいけど、後から意味もなく落ち込んでしまう。自意識の処理が下手なのかもしれない。まあ、でもニューマスターの関根さんのカラオケはスゴイという阿部情報を聞いて、そういう苦手意識よりもついつい好奇心に負ける詩森である。そしてスゴイとウワサの関根さんのカラオケは、ウワサに違わず、いや考えていた以上にとんでもなくスゴかったのであった。
 徹底的なショーアップ。半裸。そしてダンス更にダンス激しくダンス。そしてモノマネまで入る激ウマの歌。問題があるとしたら、今日の飲み会のためにわざわざ埼玉から車で来てそのせいで渋滞に巻き込まれ、稽古に2時間の遅刻したことだけである。しかし、午前2時にお開きになってから、女の子3人を阿佐ヶ谷、国分寺、大森と、ぐるーっと循環して回ってくれたことに免じて、今回だけは許して上げることに。許して上げるといいつつ、稽古中もカラオケ歌っているときも、ずっとそのことで引っ張りつづけ、いじめ続けたんだけどね。美しい人をいじめるのはとっても楽しゅうございましたわ。
 

6月4日 Mon

 ここまで来るとただ稽古の日々。今日は全員集合だったので、まずは例の大曲の最後のパートを仕上げる。生え抜きダンサーの咲起子ちゃんと関根さんとのデュエット。いくら今回たくさん踊るとは言え、そこは風琴工房、あんまりダンス・ダンス・ダンサブル!なかんじにはしたくないので、全体的にミニマルな作りになっている。なので、ここの振付も前半部分でテツムラと愛ちゃんがやってた振付をアレンジしただけなのだが、どう見ても別の振付みたいだ。ああ、ステキ。私の振付じゃないみたい。大切よね。演出より体の動く役者。
 そして、芝居の稽古もミッシリ。装置プランも確定したので、出ハケ表も作って渡す。それでもまだまだやることが多い今回。振付もたくさん残っているし。例の作業は果てしもないし。なのにこの月日のたつことの異常な早さよ。
 

6月3日 Sun

 自転車を買った。
 前の自転車はけっこう高くて、しかも可愛くて、すごく気に入っていたんだけど、1年も乗らないうちに盗まれたのだ。もうすごくショックで日記にもかけなかったくらい。物には執着がないほうだけど、盗まれて半年経っても、思い出すと胸がきゅんとなった。新しい自転車を買う気にどうしてもなれなかったんだけど、馬鹿にならない交通費をなんとかせねばとようやく重い腰をあげて自転車屋へ行ったのであった。
 一目ぼれであった。
 きれいなオリーブグリーンの車体に、カフェオレ色のサドル、淡いクリームの文字。前の彼はアメリカ人だが、今度の彼はフランス人だ。名前はピエール。なぜかピエール。変速が7段しかないのが心配だが、こういった場合、どうしても見た目重視になってしまう詩森である。
 自転車を買ってからシンゴと待ち合わせして衣装を買う。お目当てのカルバンクラインのベストは無かったけど、渋谷の丸井でパンツと上着をゲット。その後の稽古は阿部ちゃんと西嶋くん絡みのシーンを中心に。
 家に帰ってきたら、フランス人の彼がすでに来ていた。なので、さっそく夜のサイクリングに出かけるワタクシ。六郷土手のドンキホーテをひやかし、多摩川沿いをダーッと帰る。今度の自転車はタウン仕様なので、MTBに比べて軽い気がする。いいぞ。
 それにしても六郷土手のドンキはすごい場所だった。インディアン関係の飾り物が妙に品揃え豊富だったり、人生ゲームやらドンジャラやらの隣に「大人のオモチャ」がいきなり並んでいたり。その大人のオモチャコーナーで楽しそうにバイブを選んでいるカップルも凄かったが、ランジェリーコーナーでお父さんが高校生くらいの娘たちにブラジャー選んであげてるのも、かなりギョッとする光景だ。「地の果て」そんな言葉が頭に浮かぶ。なんとかしてくれよドンキホーテ。ちょっとは考えるべきだろうドンキホーテ。
 家に帰ってきてから読みさしだった角川文庫「失速するよいこたち」を読む。小児科医の人が書いた本なんだけど、この本、なんでだか、泣けます。
 

6月2日 Sat

 衣装を縫ってくれる千鶴ちゃんと日暮里に布を買いに行く。会心の布が次々と見つかり、仕上がりがかなり楽しみに。今回の衣装デザインは詩森が担当しているのだが、かなり露出度高いよ。人によっては相当キワドイ。タマラナイかんじよ。なんたってコンセプトはプリンセス・ボンテージ、ですからね。ちょっとSMチックだったり、ロリータだったり、ワタクシの趣味の満艦飾。昨日の装置に引き続き、こちらもどーぞお楽しみに。
 その後は菅原さん(詩森夫)と銀座に映画など見に行く。菅原さん(詩森夫)がタダ券を持ってた「ガール・ファイト」という映画。これがスゴイのなんのって、ガラガラだったぞ。ここんとこ映画というとなぜかガラガラなのだが、それはそれで淋しいものだな。
 で、肝心の映画だが、もうたくさんたくさんヘタなところがあるし、それよりなにより特に前半、どうしようもなくタイクツなのだが、じゃあ見る価値もない映画かというとそんなことはなくて、ジェンダーやジェンダーロールの問題をとてもユニークな設定で書いた映画だった。女性監督なんだけど、だからと言ってバリバリのフェミニズムというわけでもない。具体的にちょっと書くと、荒んだ気持ちを持て余している女の子がボクシングと出会い、ボクサーになり、やはりボクサーの男の子と恋をして、でもその男の子とリングの上で戦うことになる、という映画。もちろん男女平等の法則に乗っ取れば、これはどちらが勝ってもいいわけなんだけど、やっぱり男の子のほうにしても女の子のほうにしても複雑なわけで、見ている私たちにしても、フェミニズム論や男女平等論を机上で語ることに簡単なのに、植え付けられた、もしくは本能的な「ジェンダー・カスタム」ともいうべきものから逃れることはなかなか難しいことなんだな、と改めて気付かされるワケだ。この映画のふたりはそこのところをかなり呆気なく越えてしまい、めでたくハッピーエンドになるわけなんだけど、まあ、ちょっとそのへんは、そここそ、丁寧に書くべきトコでしょう、と単純に思う。ちょっと残念だな。でもこの監督、インタビューを読んだら知的で面白い。自分の作品のこともここがダメで、このへんはいい、みたいなかんじで、クレバーに分析してたし。次回作も見てみたいかも。「ガール・ファイト」ビデオで充分だと思うけど、機会があったら見てみてくださいませ。
 

6月1日 Fri

 美術の田村くんと打合せ。大体のプランがようやくまとまる。初めて組む人と言葉を交わしていくのは、やはり大変。シアターVアカサカを氷の世界に、という謳い文句からはかなり外れるけど、ちょっと面白い風琴工房らしからぬ舞台美術になりそうだ。どーぞ、お楽しみに。
 稽古は遠い遠い下馬。ここはどこ。わたしは誰ってかんじ。
 稽古は阿部様率いる氷河期組と関根さん率いる北極組を交互に。ライバル心バチバチ。風琴工房は良くも悪くも闘争心の薄い劇団なのだが、今回は組分けがハッキリしていることもあり、結構、競い合っているかんじだ。今回の場合、なるべくそういうかんじにしたかったので、今のところは意図通り。それにしても氷河期と北極って、いったい何をするつもりなのかしら。何すればいいと思います?ま、芝居をやるしかないんですけどね。ほほほ。


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