ろばくん ROBA DIARY

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12月31日 Mon

 起きると病人であった。熱があって背中がギシギシと痛い。なので掃除も出来ずグッタリと寝ている。夕方ごろ、フラフラと起きて年末の買い物に。今年はなんとしても「おせち」を作るのだ。作るつもりだったものを多少減らして買い物。湯水のようにお金が飛んでいく。なぜこんなに高いんだ。蒲鉾。そして伊達巻き。で、紅白を見ながら台所の椅子に座って料理。熱があるので立ってられないのだ。だけどレンコンや人参を花の形に飾り切りにしたり、私らしからぬ細かい作業をチマチマとこなす。この執念はほんとうは芝居に向けられるべきものなのかもしれない。でもどうしても妹に貰ったきりしまわれたままの可愛いお重が使ってみたかったのだ。なので煮物も煮たし、チキンロールも作ったし、松風焼きも作った。自己流だけど花も生ける。最後に明日のお雑煮に向けてダシをとる。コンブダシと鶏ガラダシを併せたもの。で、紅白が終わってから初詣で。熱があるけど、大丈夫。何せ、うちの庭は「成田山」の提灯が華々しく飾られた「寺」なんでね。そんなこんなで2001年も終わり。今年もこんな私につきあっていただきほんとうにありがとうござました。来年もどうぞよろしくお願いいたします。

12月30日 Sun

 昼はラスト付近を新演出プランに基づき、ぎちぎちと稽古。新プランは阿部さん(ク・ナウカ)の琴線に触れたらしく、いきなりモチベーション、アップ。みんなにいきなり檄をとばしはじめる阿部さん(ク・ナウカ)。夜はこの稽古場のオーナーでもあるフラジャイルの小里くんとク・ナウカ制作の久我さんが稽古場に来ての通し稽古。ここまででは一番の通し。でも、それでも何かが足りない。それはなに?そして、阿部さんが朝から仕込んだ素晴らしい味のスープで作る水炊きで納会。最後の片付けまで手伝ってくれたあげく、何故か終電を逃す小里くん。いい人すぎる。そんな小里くんと実家が隣町だと判明したシャンプーハットの日比くん。世間は狭い。そして帰宅すると詩森はどういうわけか高熱を出していたのだった。さっきまでとても元気だったのに、なぜ?

12月29日 Sat

 松岡が賄いデビュー。夜は音響のタクヘイさんのプランで初通し。やっぱりタクヘイさんのプランはカッコいいよ。燃える。でもこのプラン、オペレーターは死ぬんじゃないか?と思いつつ、打ち合わせ。で、結果として更にオペレータ泣かせのプランに。がんばれ。長柄さん。家がやたらと遠いけど。そう。今回のオペレータ長柄さんの家は西武多摩湖線沿い。それはいったいどこ?どこなのー?

12月28日 Fri

 スタッフ全員集合。今回のスタッフさんは詩森ベストセレクションなので、やたらと仕事がデキル。仕事がデキルということは通し終了後の打ち合わせも細かいことこの上ない。そんなにいちどきに聞かれても、頭が働かないよ。などとどーしよーもない私を取り残して、スタッフはどんどん打ち合わせ、いろんなことが決まっていくのであった。でも肝心の通しはイマイチなのが問題だ。いつものことだがシーンが出来てから、決定版がでるまでの困難さよ。

12月27日 Thu

 昼間は劇団事務仕事の追い込みでやたらと忙しい。それから稽古。記憶がそろそろさだかではない。シアターガイドが送られてきた。やたらと立派な取扱でドびっくり。今井さん、ほんとうにありがとうごさいました。

12月26日 Wed

 誕生日であるがそんなことはすっかり忘れていた。稽古場に行ったらみんなが盛大に祝ってくれるなどということもなく、「おめでとう」の言葉すらなく稽古開始。そういえば今日はとても可愛らしいある小道具を買ったのであった。稽古場はもうそれに夢中である。これをココロのプレゼントにしよう、と勝手に決める。おめでとう。わたし。誰も言ってくれないけど。いいや。おくむらさんが掲示板で祝ってくれたし。可愛い小道具もあるしね。

12月25日 Tue

 大晦日と元旦以外で最後の稽古休みだがなぜか松岡洋子と二兎舎を見に行く。松岡の知り合いの酒匂さんという役者さんが出ているので誘われたのだが、なぜこの時期、知り合いもいない初見の劇団を見に行かねばならぬのか我ながら不思議である。でもこういうことでもないと二兎舎なんてきっと行かないし、私は芝居の誘いは基本的には断らないのだ。(但し誰も誘ってくれないのが淋しい)休憩の時外に出たらパソ通仲間のおくむらさんとAYAさんに遭遇。おくむらさんに劇中に出てきたお菓子「豆板」(なぜか劇場で販売中)を貰う。で結局飲む。
 初見の二兎舎は新劇というよりむしろ商業演劇のようなかんじであった。こまつ座とかあんなかんじね。笑いあり、涙あり。キッチリ作ってあって、楽しめたけど渡辺美佐子演じる主役の女性の性格設定が生理的にダメだったのが辛かったなあ。なんか渡辺美佐子、異様に上手いし。一緒に行った松岡によると「前回行った『荻家の三姉妹』のほうがずっと面白かった」ということなので、もう一度くらいは行ってみるかもしれない詩森だ。
 今日はその他、仕事も行ったし、浅草橋も行ったし、市ヶ谷に内職仕事の給料も取りに行ったし、渋谷で衣裳や小道具も見たし、なんだか悲しいほど慌ただしかったが、省略。そんな中、菅原さん(詩森夫)がナースウォッチが欲しいというので、クリスマス・プレゼントにしようと渋谷のLOFTに行ったら、私が買ったのが最後のひとつであった。店員によると「クリスマスで売れてしまって」と言っていたが、私の夫以外にもクリスマスにナース・ウォッチを欲しがる人間がいるのだろうか。家に帰り、そのことを菅原さん(詩森夫)に言うと、「私が欲しいと思うものは必ずトレンドになるんです」と身の程知らずなことを言っていた。渋谷ロフトでクリスマスにナース・ウォッチが売れたのは、トレンドか単なる偶然か、それともただ在庫が少なかっただけなのか。ナゾだ。ナゾが深まる、現代ナース・ウォッチ事情である。
 そして、さっさと寝ようと思っていたのに、小田和正がいろんな人の歌を歌うライブ・コンサートをテレビでやっていて、これが異様に面白く、ついつい最後まで見てしまう。結局就寝は深夜。あー疲れた。

12月24日 Mon

 稽古したいであろう役者たちを座らせ、脚本の話。後、転換稽古。シーン数がとにかく多い芝居なので、ツナギのところを細かくツメていく。所作、デハケのタイミング、ああでもないこうでもないと繰り返し。私は大ざっぱな性格だが、書く芝居は妙に丁寧な細かさを要求されるので、いつもこの転換の稽古が大変だ。しかも時間も空間もどんどん飛ぶというのに、暗転がない。そで幕嫌いなので見切れる場所も通常の舞台の倍くらいはあるため、役者の負担も大きい。そんなこんなでチマチマチマチマ直しを入れて、最後にラストシーン近くだけを通す。これは昨日とは別モノと言ってもさしつかえない良い芝居であった。クリスマスも正月もなく稽古する、とはまさに今回の風琴工房であるが、それにしても阿部さん(ク・ナウカ)に「今日のあのシーン、ようやく初日がでましたね」と言ったら「クリスマスだからな」と言われたのにはちょっとだけムッとする。やれよ。日本人なんだからクリスマスなんて関係なくさ。そんな阿部さん(ク・ナウカ)に「今日はもちろんこの後いろいろ予定があって忙しいんですよね」と言ったら、「忙しいけど一時間くらいならみんなとメリーしてもいいよ」とワケのわからないことを言うので、結局飲みに行く。それにしてもせっかくのイブだと言うのに、風琴工房劇団員は勢揃い(+新本さんとあきやまさん)というのもいかがなものか。そして「大介(日比くん)もああやって止まってセリフを言えるようになるとカッコいいじゃないか」と今日の芝居が上手くいったのも3日間「鈴木メソッド」を集中してやった成果だと、褒めて欲しそうな阿部さん(ク・ナウカ)。仕方ないので、「日比くんは前からカッコいいです」と言いそうになるのをグッと堪え、「いやあ、鈴木メソッドのおかげだと思いますよ。ほんとうに素晴らしいですね」と持ち上げる詩森。その横から「ほんといいですよ。僕大好きです」と相変わらず心ないお追従を言う新本さん(タイプス)。でも悔しいがメソッドはかなりよい。来週からは足袋を履いてやるわ。

12月23日 Sun

 3連休2日目もプレスリーで始まった。今日から「マクベス」のセリフも登場だ。昨日稽古に遅刻したためプレスリーを体験できなかった日比くんも今日から参加。目をシロクロさせつつ怪しいステップを踏み続けている。そして、何をやっても手足をバタつかせ弱そうな松岡はまるで生まれたてのカミナリ様の子どものようだ。
 昼間は冬眠中の某役者の集中稽古。お手伝いの方が見学に来てくれているというのに、怒鳴りまくる詩森。素人以下のその演技にむかつく。ほんとうにむかつく。寺田くんから「あんまりヒステリックに怒らないほうがいいよ」と言われていたにも関わらず手元にあった歯ブラシケースを机に叩きつけ割ってしまう。だってものすごくむかつくんだもの。
 夜は音響の青木さんと寺田くんが来ての通し稽古。それがまたピリッとしないデキで、ダメ出しも熾烈、というよりボヤーッとしたものになってしまう。こんなにいい時と悪い時の差が激しくては、演出としてもどうしたらいいのか謎が深まるばかりだ。青木さん、寺田くんとお疲れビールをちょっとだけして帰宅。

12月22日 Sat

 3連休はプレスリーとともに始まった。それは阿部さん(ク・ナウカ)指導のもとに行われる「鈴木メソッド」に欠かせない音楽である。タイトルは「冷たくしないで」。ビーバップのリズム、プレスリーの「んー」などという甘く悩ましい歌声にのせ、「鈴木メソッド」の怪しいステップを踏み続けるわたしたち。怪しい。怪しすぎる。鈴木メソッド。
 メソッドで体が開いたあとは、風琴工房ではやったことのない、キャラクター通しというのをやってみた。つまりあるキャラクターのシーンだけをずーっと通すのだ。9人いるので9回通す。予測されたことだが、おもむろに不機嫌な顔になり、「それ意味があるんですか?」と言い放つ阿部さん(ク・ナウカ)。「やったことがないからわかりません」と答える私。いきなりムードが陰る。今回シーンが細切れでテンションの維持が難しいので、この稽古をしてみることを思い立ったのだが、これで何の意味もなかったら、許されるムードではない。阿部さん(ク・ナウカ)との稽古はいつだって真剣勝負である。
 そんなこんなで始まったキャラクター通し。ジャンケンで一番を引き当てた松岡、稽古場の淀んだ空気をそのまま反映したかのように惨敗。安定した芝居のあきやまさんが軽く盛り返すが、あきやまさんの芝居は返し稽古でも安定しているので、特に何か劇的というかんじでもない。続くほりゆりに望みを託すが、相手役である新本さんが心ここにあらずという感じで、これも惨敗。仕方ないので、「こうやってキャラクター通しをするといかに芝居が出来上がっていないかがわかりますね」などと言ってみる。うなずく阿部さん(ク・ナウカ)。この稽古に彼なりのモチベーションを見いだしたらしい。
 その後、夜まで9回キャラクターごとの通し。新本組が昼間の惨敗から嘘のように盛り返したり、なぜか阿部さん(ク・ナウカ)だけが着替えがものすごく忙しいことが発覚したりして、稽古場の夜は更ける。某役者はまだ冬眠中。こうして3連休一日目は終わった。

12月21日 Wed

 全員集合。3日間の特集稽古を経て、ずいぶん芝居はまともになった気もするが、なぜかボヤーッとした印象。形はきれいに整っているけどクラゲのように骨がない。こんなに実力のある役者が揃っていてこんなにボヤーッとした印象になってしまうのは脚本に何か致命的な欠陥があるのだろうか。それとも相変わらず冬眠中の某役者のせいだろうか。釈然としない気分のまま飲みにだけは行く。ああ、3連休。頼むぜ3連休。

12月20日 Thu

 阿部さん(ク・ナウカ)と巣鴨で待ち合わせ。ロシア製のコートをたなびかせて地蔵通り商店街を歩く阿部さん(ク・ナウカ)は、異国のギャングのようだ。その実、言ってることといったら「楽しいなー。お買い物」とかしょーもないことばかりなのはいかがなものか。その後、ort公演「班女」を見に原宿へ。ロシア製のコートは当然原宿でも浮きまくっていた。差し入れを買おうとして「(原宿に)デパートはないの?」などと私に聞く阿部さん(ク・ナウカ)は相当の世間知らずである。さびれているといっても限度を超えた酒屋でコロナビールを買い会場へ。しーんとした会場で「芝居の時、暗くなるとさー、俺、どーしても咳き払いしたくなっちゃうんだよ」などとまたしょーもないことを言っている。実際、始まると、押し殺したように咳き払いをしているのが笑えた。観劇後、阿部さんはク・ナウカの納会へ。私は新本さん、松岡、ほりゆりの特集稽古のために門仲スタジオへ。今日の稽古は充実。2、3日のローな気分がようやく晴れ帰宅したところに寺田くんから電話。そーいえばおとといの稽古があまりに暗い気分になるものだったので、寺田くんにグチを聞いてもらおうと電話したのだが、珍しくコールバックがなかった。留守電に吹き込まれた私の声があまりに暗くドヨーンとしているので「うっとおしいから掛けなかった」とのことである。自分が落ち込んだ気分のときは例え夜中の3時であろうと電話してくるというのに、なんて友達甲斐のない男なんだ。「そんなふうに冷たくして死んじゃっても知らないよ」と言ったら、「別にいい年した大人が死ぬのは止めないしそのことで後悔もしない」ときっぱり言われた。まあそりゃこの年にもなって自殺を決意したあげく、止められて思いとどまるのも如何なものか、とは私も思う。もし寺田くんが何かの拍子に自殺しても「私があの時、ちゃんと電話をかけ直していたら…」と泣き崩れる、なんてことは確かにないな。
 そして明日から稽古はまた全員集合。一気に本格化させ3連休になだれ込みたい私だ。死にませんよ。

12月19日 Wed

 稽古はオフ。菅原さん(詩森夫)のボーナスが出たので、焼き肉を食べに行く。海岸通りにある「アリラン」は掘っ建て小屋といって差し支えない、バラックの如き焼き肉屋だ。前々から気になっていたのだが、わたしの食いしん坊レーダーは今回も過つことなく、やはりとても美味しかった。このあとはクリスマスも誕生日も稽古なので、菅原さん(詩森夫)がプレゼントをくれた。bianchiというイタリアの自転車メーカー製のペパーミントグリーンのカギと点滅するライト、それから自転車走行距離と最高速度が測れる計測器という自転車3点セットである。嬉しい。とても嬉しいが、この年になってそんなものをもらって喜ぶのもどうかとは思う。
 関係ないが、夕方、明日の待ち合わせの件で阿部さん(ク・ナウカ)から電話をもらった。向こうから掛けてきたと言うのに、「ク・ナウカの阿部ですが、どちら様ですか」と聞かれ仰天した。いくら電話の声がふだんと違ったからと言っても、「詩森さんですか?」くらいで普通は押さえるものではないのか。そんな阿部さん(ク・ナウカ)と明日は衣裳探しデート。果たしてどうなることか。以下、次号に続く。

12月18日 Tue

 寺田くんが稽古場にCDを焼いてきてくれた。その盤面に「ファイナル・ミックス」と書いてある。演出の許可もとらず勝手にゴールするというのも如何なものか。まあ、いつものことだけどさ。どうでもいいが、冬だよね。でも今日も自転車。何もかもが凍りついていく。

12月16日 Sun

 稽古。静かな稽古場。静かな焦燥。別に芝居のデキは悪くないけど。

12月16日 Sun

 フランフランで稽古場用のマグカップを買ってから稽古場入り。稽古場につくとすでに役者たちの自主稽古が始まっていた。そんな中、遠慮しいしい「まかない」の支度をするわたしは演出というよりただの給食のオバサンである。神様に3つのお願いができるなら「威厳が欲しい」と迷わず言いたい詩森だ。稽古着に着替え、阿部さん(ク・ナウカ)の号令のもとまるで研究生のように基礎稽古。さわりだけとは言いながら、これがやっぱり気持ちよい。鈴木メソッド、好きかも。
 稽古はいきなり濃厚に新本さんとほりゆりちゃん(第三エロチカ)のシーンから。ここのシーンを演出するのは演出的にかなり燃える。これで文句なんかないよ、というシーンが自分の言葉によって更に上がっていく演出としてのこの喜びよ。
 夜は今回初めての通し稽古。予測されてはいたことだがメリもハリもあったもんじゃないという冗長さ。1時間30分の芝居がこれは「グリークス」なのではないかという壮大さにグッタリする。3時間くらい見ていた気分だ。まあ、それでもいつもの初通しに比べればずっとマシではあるのだが、だからと言ってこれでいいはずは無論ない。課題も見えてやる気も倍増。冬の空気の中、永代橋から見える凍ったような夜景を見やり、自転車を飛ばす。いいものにしますわよ。

12月15日 Sat

 今日から門前仲町、フラジャイルさんの稽古場をお借りしての集中稽古。本番の道具を使い贅沢に稽古する予定だ。朝からナツメの運転で取り回りをしたのだが、これがもうホラーと言うべき怖ろしい運転であった。赤信号に突っ込み、一通を逆走する。もう二度とあの人の運転する車には乗りたくない。劇団のためにここはひとつ、免許を取るべきなのだろうか。
 稽古場で待っていてくれた小里くんから稽古場の説明を受ける。その時は何も言われなかったのに、後から「借りてきた猫みたいで面白かった」とメールが来た。主宰者モードをハイトップに入れ、なるべく堂々としていたつもりだったのに結果は「借りてきた猫」。なんだか自分で自分に落胆する私だ。
 それにしても、待望の稽古場に入り、阿部さん(ク・ナウカ)始め、役者陣、テンションが一気に上がっている。こんなに張り切っていて一カ月持つのだろうか。不安だ。昼は装置の福田さんが来てバミリ、夜は舞台監督の八着が来て稽古を見つつ、細やかなチェックをしてくれる。稽古は場面転換を中心に。ああ、でもやっぱり環境が整うといいものだな。幸せを感じつつ、帰宅。

12月14日 Fri 

 明日から固定の稽古場入りなので、今日は飲みには行かないとココロに決めていたら電話が鳴る。出てみると寺田くんで「今日、稽古場行ったら<打ち合わせできる?」と聞かれる。打ち合わせと言われてはいかないワケにはいかない。そして稽古後、稽古場を借りた人が書かなければならないチェックノートを記入していたら、新本さん(タイプス)が血相を変えて飛んできて「詩森さん」と叫ぶので何事かと思ったら「阿部さん(ク・ナウカ)が、阿部さん(ク・ナウカ)が、『ねぶた』で飲んでから『光春』でラーメン食うって行ってます」だと。あんたは阿部さん(ク・ナウカ)の舎弟かっつーの。でもそう叫ばれて上着も着ることもできず寒空の下飛び出したわたしもそうとうの小者である。そんなワケで『ねぶた』の片隅で阿部さん(ク・ナウカ)がわあわあワケのわかんない話をしつづけるのを聞きながら、寺田くんと粛々として音楽の打ち合わせ。いつものことだが演出でありながら身分の低い私。そんなこんなで終電に飛び乗りようやく品川まで辿り着くと、知らぬ間に山の手線が遅れていて松岡は京浜東北の終電に乗り損ねていた。仕方ないので家に連れてかえり、命からがら就寝。激動の日々は続く。

12月13日 Thu 

 今日は朝から大忙し。ワープロの内職をして、その合間に助成金申請の書類を書いて書いて、またワープロの校正。もうダメかと思った申請書が書き上がってちょっと嬉しい。ワードとエクセルが得意で良かった。でも得意なせいでこの手の劇団の仕事が全部わたしの仕事になっているのもまた事実である。事務スキルがありすぎるのも問題だ。仕事がいつまでたっても全然減らない。
 一昨日、新本さんが飲みに誘ったのに断ったことを非常に気にした阿部さん(ク・ナウカ)が今日は稽古始めから張り切っている。なんでも今日で全ての用事が終わり、明日から芝居に全力投球なのだそうだ。何を聞いても「それは後で食事しながら」と言うのだ。なので今日も飲みに行く。阿部さん(ク・ナウカ)絶好調。明日の稽古からついに風琴工房でも鈴木メソッドをやるからと宣言。そりゃいいや、と思っていたら、「詩森さんにもやってもらいますから」となぜか「命令」される。仕方ないのでココロのメモに「明日からは体操着持参」と書き込むワタクシ。やるわよ。鈴木メソッドくらい。覚えるわよ。マクベスのセリフだって。そんなワケでついにはじまる鈴木メソッド。以下次号に続く。

12月12日 Wed 

 「サンガリア」という清涼飲料のブランドを知っているだろうか。よく激安ジュース自動販売機などで扱われている。ここのウーロン茶を下のお弁当やさんで売っていて、比較的おいしいので愛飲していた。そして、なんの気なしに側面の説明書きを読んで仰天する。そこには「サンガリア」という商標の由来が書かれていたのだ。それによると「サンガリア」は「国破れて山河あり」という杜甫の詩からとったものだという。そ、そうなんだ。今までなんの気なしに飲んでいたのに、なんか姿勢を正して飲まなきゃいけないような気がしてきたよ。
 そんなワケで今日は東京タンバリン@明石スタジオ。なんかもうただ座っているだけの人(観客はみんなそうだけど、それにしてもね)。ダメだ。人の芝居見るのはもう無理なんだ。といいつつ気になってまた行ってしまう。そんなことの繰り返し。

12月11日 Tue 

 今週末から門前仲町のフラジャイルさんの稽古場を貸していただくため、稽古場のしおりを用意する。折り目正しい阿部さん(ク・ナウカ)はきっとこういう「しおり」みたいなのは好きにちがいないと思っていたら、案の定、渡したとたんから大騒ぎであった。騒ぐ内容も「果物はお菓子ですか」とか「お弁当はおにぎりとサンドイッチどっちでもいいんですか」といった類のことで、まあ小学生並と言って差し支えない。そして、時間割をきちんと決めた詩森渾身の稽古予定表(改訂版)を一瞥し「ク・ナウカみたいだな」ととても満足そうであった。愛しているのね。ク・ナウカを。
 そして稽古。どうなることかと思った清水怜雅と日比くんのシーンもちょっとづつ形になってきた。稽古後は飲みに行き、ほりゆりちゃんと芝居について熱く語る。ゆりちゃんの芝居に対する意外なほどの真摯さに触れ、演出としてのモチベーションが一気にあがる詩森。稽古予定表を作って満足している場合ではないワケだ。そんな公演一カ月前。
 

12月10日 Mon 

 稽古場までの道筋で、迷う。いや駒沢通りまでは軽快だったのだが、曲がる道を間違え、30分近く放浪するハメに。稽古はすっかり遅刻。方向感覚だけは優れているという自負のある詩森。茫然自失である。しかし昨日の荒通しを受けて演出としての話を少しする。やおらメモをとる阿部さん(ク・ナウカ)。あのノートにはいったい何が書いてあるんだ。新本さん(タイプス)が後に飲み屋で語ったところによると、そのノートの表紙には筆書きの立派な字で「大福帳」と書かれているそうである。それは、いったい…。詩森の遅刻のせいもあるが稽古がちょっとグズグスな状態になっているので、もっと機能的にするために稽古計画の練り直しを決意。やるぜ。

12月9日 Sun 

 大井町のユニクロで菅原さん(詩森夫)の服と自分のタートルネックを何枚か購入。そして丸井にフラフラと入り、今年大流行の股上が浅いジーンズを「どうせ似合わないから」とヤジ馬気分で試着したところ、足がとても細くしかも長く見えるのでつい購入。いつも思うが服装に関して気が若すぎるのは問題である。
 稽古は立ちと読み合わせを併用した通し稽古。わかってはいたがタイヘンだわこのお芝居。そんなこんなで今日は飲まずに家に帰る。ワープロの仕事を片付け深夜一時就寝。

12月8日 Sat 

 松岡と待ち合わせスズナリで燐光群「白鯨」。知り合いの桐畑さんがいい役をもらっていて、それはとても嬉しい。けれど芝居に関しては気もそぞろで壁やらデハケ口やら非常灯の場所やら気になって気になってキョロキョロしてしまい、「ああ、あの仕掛けはやっぱりあの場所じゃダメだわ」とか、「ああ、ここはやっぱり福田さんの言うとおりパネルを立てたほうが良いに違いないわ」とかもう自分の公演のことだけで頭がいっぱいなダメな客となり果てる。もう人の芝居の観劇は無理ということか。
 稽古はほとんど自主稽古で今週来た日比くんとゆりちゃんのシーンを中心に。疲れ果ててたし、あきやまさんもいないし、今日は飲まずに帰ろう、と思ったら、稽古場に来てくれたタービンが飲みに行くと言うし、いつになく新本氏もやる気だし、日比くんまで来るというのでついつい飲みに行く。
 スポーツ少年だったという日比くんは小学校の頃、ルールが覚えられなくて野球をやめたのだと言う。「野球のルールなんてカンタンじゃん」と言ったら、「いや難しいですよ」とムキになるので「なにが難しいのさ」と言ったら、しばらくモゴモゴとしたあと、やけにキッパリと「ゲッツーとか」といいはなったのであった。それはいったい…。なぜ「ゲッツー」がわからなくて野球を辞める日比少年よ。「ゲッツー」のどこが難しいのかわかる人がいたらぜひご一報願いたい詩森である。そんな日比くん、「オフサイド」がわからなくてサッカーを辞め、防具がうまくつけられなくて剣道を辞め、最後は陸上競技をやっていたそうである。「あれは走るだけっスからね」と爽やかに笑う日比くんにもはや突っ込むこともできず、「そうだよねえ。走るだけだもんね」と遠い目をして答えるしかない詩森。週末の夜は更けていく。

12月7日 Fri 

 うちの近所の六行会ホールまでネオゼネレイタープロジェクト「BARON」を見に行く。今日しかオフがないわけなので、風琴工房参加ネオゼネレイター関係者組(なんじゃそりゃ)も全員集合である。六行会ホールは前に指輪ホテルできたことがあるけど、なんか地の果てのようにも感じる場所だ。その地の果てに住んでいる詩森はともかく普通のお客さんはとてもとても来るのがタイヘンなワケで客席は空席が目立ちさみしいかぎり。装置やら衣裳やらものすごく、お金がかかっていそうなだけに、人ごとながらちょっと心配。終演後は飲み会に誘ってもらったが、劇団でとある問題がおこっており、家と戻り鉄村とミーティング。そんなオフ。ああもう休んだ気がしないぜ。

12月6日 Thu 

 寺田くんと装置の福田さんが稽古場来場。杉野家(阿部さん宅)が広げても広げても手狭なので、ついに、2部屋作られることになってしまった。さすがク・ナウカが世界に誇る大俳優。国見家(新本さん宅)が二畳一間に3人がひしめきあっているのに対し、男の甲斐性を見せつける阿部さん(ク・ナウカ)である。問題は縦長の家なのでまるで廊下に住んでいる一家のようになってしまうということだ。まあ全部で35uくらの猫の額ほどの土地に2軒の家と公園と大学のキャンパスまで作ろうというのだから、おおごとにならないハズはない。
 そして、稽古は今日から全員集合。妙な緊迫感に包まれ、稽古は停滞。なにかとてもいいものを見られるに違いないと期待していた寺田くん。あからさまにオカンムリ。昼間電話したときには「今回、詩森さんタイヘンそうだから、俺は小言は言わないことにしたからさ」と優しいことを言ってくれていた割には、まるで桟の埃を指でなぞる小姑の如く、日比君(THE SHAMPOO HAT)に小言をたれ、あげくの果てには阿部さん(ク・ナウカ)にまでダメ出しをはじめる始末。その上、「詩森さん、今日の洋服の取り合わせ、やめたほうがいいよ」と人が気にしていたことをズバリと言い放つ。ああ、こんな奴を身内と思った私が馬鹿だったよ。そして、ろば日記に阿部さん(ク・ナウカ)ネタが多いことをつい言ってしまったため、何か言うたび「これは日記には書かないように」と念を押す阿部さん(ク・ナウカ)。なので、阿部さん(ク・ナウカ)が某テレビ番組の大ファンだということも、阿部さん(ク・ナウカ)が○○好きだということもここには書けない。とても残念だ。
 関係ないが、今日、シアターガイドの編集部に届け物をしたときにこの間撮った写真を見せてもらった。いろいろ気を使っていたハズの詩森より、日曜日のお父さんだった鉄村(但し上着を愛ちゃんから借用して危機回避)や、普段着の愛ちゃん、酒の飲み過ぎで顔がむくんでいた松岡のほうがずっと美しい。当然と言えば当然なんだけど、何か複雑な気分だ。女優は女優、作家は所詮作家ということだな。12/27発売です。必見。

12月5日 Wed 

 アイピット目白で愛ちゃんとユニークポイントのワークショップ公演のお手伝い。昼の回だけ受け付けするのだ。マチネを見せてもらって急いで稽古場へ。今日から日比大介くん(THE SHAMPOO HAT)が参加である。いきなり日比くんのところから稽古スタート。なにせ演技の文法が新鮮。
 どうでもいいことだが、今日ユニークポイントにいった時、役者のYさんから稽古場見学に行っていいですか?と言われ、もちろん「いつでもどうぞ」と答えたワケだが、そのせいかどうか稽古場に行ったら見学者で溢れかえっているという夢を見た。次から次へと見学者がやってきて稽古にならない。あまりのことになにかワアワア怒鳴り散らしているところで目が覚めた。ストレスレスと思っている詩森もなにか大きなプレッシャーを抱えているということだろうか。稽古の日々は続く。

12月4日 Tue 

 一日、ワープロ仕事。そうだよ。たまには仕事するんだよ。詩森もさ。それから稽古。とにかく稽古。ようやくペースが見えてきたので、稽古予定表を作っていったら、「俺はこれを待ってたんだよ」と阿部さん(ク・ナウカ)に言われた。風琴工房のゆるい稽古っぷりに業を煮やしていたらしい。稽古は計画的にということか。とはいえ、風琴工房の稽古は小劇場界ではかなり計画的なほうだと思うのだが、ク・ナウカはなにせ分刻みらしいのでね。でも前々からタイムキープはしたいと思ってたんだよな。そう思うとやっぱ助演出さんは必要だよなあ。

12月3日 Mon 

 体調を崩して休む役者が2名。もともとのNGが1名。そうとうに寂しい稽古場。体調を崩す、というのが理解できない私はここまでの演劇人生活、稽古中に病欠したことが一度もない(正確には一度、一日だけ稽古を休んで入院したことがある)という鉄人である。健康管理は自分の責任、とはよく言うが、特に管理しなくても、いやそうとうの無理をしても体調を崩すこということがないのだ。もともとの体力に恵まれているだけの話で、別に褒められることでもなんでもないのだが、その割にはそういった役者に対する理解も同情もかなり薄い(稽古中の役者以外には理解も同情も普通にある。念のため)。だからこそ今日の稽古は充実させたかったが、まあここには書きたくないくらい惨憺たるありさま。そんな日に限ってなぜか寺田くんがやってくる。しかも9時過ぎ。ただ飲みに来た人みたいだ。まあでもムシャクシャしたのでこれ幸いと飲みに行く。寺田くんもたまには役に立つわけだ。そんなこんなで下北沢の夜は更ける。結局電車は終電。

12月2日 Sun 

 目覚めたら1時。慌てて飛び起きシャワーを浴びて自転車。今日は今日とてほりゆりちゃんが出演する「心象 三人姉妹」を見に行かねばならぬのだ。会場は6畳一間くらいの妖しいフリースペース「ガンベッタ」。遅刻かと思いきや、逆に余裕で会場着。自転車の実力は確実にあがっている。そしてこの三人姉妹は今どき驚くほどのアングラ。アングラは「体質」であって「スタイル」ではないという詩森の持論が図らずも実証されることに。ほりゆりは思う存分発狂し、個人的にはかなり興味深い観劇となったのであった。
 そして稽古場。外でタバコを吸っているあきやまさんと話していたら、阿部さん(ク・ナウカ)がシャーッと自転車でやってきた。西荻から下馬というその走行距離もスゴイがなんといってもそのファッション。赤いコート、めくりあげたジャージ、そして稽古用の革靴。インパクト、ありすぎ。今日のアップは阿部さん(ク・ナウカ)主導。そしてそのアップは悩から麻薬がでる感じでかなり気持ちがいいのであった。
 3日間、観劇と打ち合わせと稽古でかなりグッタリしたので、今日はもう一直線に帰宅。でもやっぱり自転車。どんなに疲れていても漕ぎ続けないと家にはつかない。2日振りにテレビを見る。雅子さまが手を振りながら入院する映像を見てかなりビックリ。たいへんだなあ、皇室。皇室が続くと言うのなら女帝は認められてしかるべきとは思うが、そんな女帝に婿にくる男は今どきいるのだろうか。婿がこない場合、一生独身で女帝をやるのだろうか、などということを考える下世話な一市民。詩森。カレーウドンを作って食べ、就寝。

12月1日 Sat

 今日は朝から大忙し。信濃町でシアターガイドの写真撮影。劇団員の方全員で、と言っていただいたので全員集合となったワケだが、待ち合わせ場所に到着するとどう見ても普段着の愛ちゃんが。まあでもいい。普段着でも愛ちゃんは可愛い。と、そこに到着したナツメは普段着どころか、どう見ても普段着よりダサイ。日曜日に釣りとかゴルフに行くお父さんみたいだ。一生懸命気を使ってオシャレした結果が「日曜日のお父さん」とは。イタい。なんてイタイ人なんだ。鉄村夏芽。大騒ぎになっているところに松岡洋子到着。コート姿で撮るから中身はどうでもいい、と解釈したらしい松岡はヨレヨレのセーターでしかも昨日の泡盛のせいで明らかに顔がむくんでいる。清水怜雅に至ってはついに連絡が取れなかった。いくら急に決まったこととは言え、留守電くらい聞けよ。ダメだ。ダメすぎる風琴工房。そんなダサダサの風琴工房なのにロケ地は一面に落ち葉の黄色が敷きつめられた素晴らしい銀杏並木。そんなねえ。ロケ地ばっかりステキでもねえ。
 そんなこんなで撮影は終了。「女優としての自覚が足りなすぎる」とプンスカ怒りつつ、日比大介くん出演の「明日図鑑」を見に下北沢駅前劇場へ。芝居はまあ普通というかんじだったが、日比くんがとてもステキだったので、ちょっと機嫌を直す。
 そして稽古。ひときわ濃密に。
 とっくにキャパシティを超えていたが下北沢に舞い戻り、明日図鑑の夜の回を見てきた福田さんと音子ちゃんと装置の打ち合わせ。寺田くんがポストカードの原稿を作ってくれたというので、打ち合わせ場所に来てもらい、そちらも打ち合わせ。福田さんは今見てきた明日図鑑のドアの立て付けについてさかんに気にしていて、「詩森さん、気になりませんか」と言うので、「すごく気になりました」と言ったらとても満足そうであった。深夜12時、打ち合わせ終了し、ようやく帰宅。もちろん雅子様の出産のことなど知る由もなく一日が終わったのであった。


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